1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570097
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
稲垣 千代子 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60025640)
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Keywords | Cl^--ATPase / 脳 / mRNA / アフリカツメガエル / 卵細胞 / Cl^- / ATPase / ラット |
Research Abstract |
神経細胞内外でのcl^-濃度勾配形成の機構は, 未だ解明されていない. 我々は, 脳の神経細胞膜にcl^-存在下で最大活性を示すcl^--ATPaseを見出し, 本酵素が細胞膜cl^-ポンプとして機能する可能性を示唆した. 本研究では, ラット脳mrNAを用いてアフリカツメガエル卵細胞膜にcl^--ATPaseを誘導発現させ, この酵素のイオン輸送機能を証明することを試みた. ラット脳よりmRNAをpoly A-RNAとして調整し, その2〜3mg/ml溶液を, アフリカツメガエル卵細胞当たり約50ml注入した. mRNA注入後の卵細胞は, 20゜Cで1〜4日間インクベートしのち, barth溶液中でホモゲナイズし, これから採取した膜分画についてcl^1-ATPaseのほかNa_2K-ATPaseおよびアニオン非感受性Mg=atpaseの各活性を測定した. mRNA注入卵と緩衡液のみ注入した対照卵のATPase活性を比較した. cl^-ATPase活性(μmal pi/mg proteln/br)は, 非注入卵および対照卵では0.03〜0.10であったが, mRNA注入卵では注入後1,2,3および4日目に, それぞれ0.23±0.03,0.17±0.01,0.23±0.01および0.19±0.06となり, 対照値に比べ有意に活性上昇がみられた. Na,K-ATPaseおよびアニオン非感受性Mg=ATPase活性は, それぞれ非注入卵, 対照卵で, 0.07〜0.10および0.4〜0.8てせあり, mRNA注入による有意な活性の変動は, みられなかった. cl^--ATPaseに対するモノクローン抗体と結合する蛋白は, mRNA注入卵のインクベート2または3日目に植物極または動物極に近い細胞膜に集中して出現した. 以上の結果から, ラット脳由来のmRNAによりアフリカツメガエル卵細胞にcl^--ATPaseを発現させることが可能となったが, イオン輸送実験には細胞膜強度を保つための工夫が必要であることが分った.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Kunugi-Uehara: Neuroscience Letters. 73. 276-280 (1987)
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[Publications] T. Tanaka: Japan. J. Pharmacol.43. 205-212 (1987)
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[Publications] M. Hirata: Sell Structure and Function. 12. 265-272 (1987)
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[Publications] C.Inagaki: Brain Research. 419. 375-378 (1987)
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[Publications] J. Miyakoshi: Japan. J. Pharmacol.45. 281-283 (1987)
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[Publications] C. Inagaki: Abstracts of Xth International Congress of Pharmacology. 10. P413 (1987)