1987 Fiscal Year Annual Research Report
あくび行動の発現機序における中枢α-MSH性およびアドレナリン性神経の役割
Project/Area Number |
62570098
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山田 勝士 福岡大学, 医学部, 助教授 (00037491)
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Keywords | あくび行動 / ドパミン性作動薬 / コリン性作動薬 / ドパミンD-2受容体 / 中枢アドレナリン性β-受容体 / ムスカリン性受容体 |
Research Abstract |
本研究ではラットにおけるあくび行動の発現機序について検討を加え, 以下の研究結果を得た. 1.ラットに特異的ドパミンD-2受容体作動薬であるB-HT920あるいはSND919を投与すると著しくあくび行動が発現し, 本行動はドパミンD-2受容体遮断薬(スピペロン,YM-09151-2)およびムスカリン受容体遮断薬(スコポラミン)の前処置により抑制され, ドパミンD-1受容体遮断薬(SCH23390)では影響されなかった. 2.中枢アドレナリン性β-受容体遮断薬(プロプラノロール,ピンドロール)の前処置により, ドパミンD-2受容体作動薬(B-HT920,SND919)およびコリン性神経作動薬(フィゾスチグミン,ピロカルピン)誘発あくび行動は著しく増強された. 3.脳内セロトニン量を減少させるレセルピンやパラクロルフェニルアラニン前処置により, ドパミンD-2受容体作動薬誘発あくび行動は増強されたが, コリン性神経作動薬誘発あくび行動は増強されなかった. 4.β-受容体遮断薬あるいは脳内セロトニン量を減少させる処置により増強されたドパミンD-2受容体作動薬誘発あくび行動はドパミンD-2受容体遮断薬およびムスカリン受容体遮断薬により抑制されたが, ドパミンD-1受容体遮断薬では影響されなかった. 5.ドパミンD-1受容体作動薬であるSK&F38393は単独投与, アドレナリン性β-受容体遮断薬との併用投与, あるいは脳内セロトニン量を減少させる前処置でもあくび行動を誘発しなかった. 以上の結果より, あくび行動はドパミンD-2受容体あるいはムスカリン受容体を介して発現し, さらにドパミンD-2受容体作動薬誘発あくび行動は, 中枢アドレナリン性およびセロトニン性神経活動によって調節され, ムスカリン受容体作動薬誘発あくび行動はアドレナリン性神経活動によって調節されていることが明らかとなった.
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[Publications] 山田 勝士: Xth International Congress of Pharmacology Sydeney, Australia. 283 (1987)
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[Publications] 山田 勝士: 薬物・精神・行動. 8. 11 (1988)
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[Publications] 山田 勝士: 日本薬理学雑誌. 91. 17 (1988)