1987 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンの細胞内取り込みと作用発現機構の研究
Project/Area Number |
62570105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成宮 周 京都大学, 医学部, 助教授 (70144350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 元始 京都大学, 医学部, 教授 (90025536)
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Keywords | プロスタグランジン / 細胞周期 / G_1期停止 / 培養細胞 / 蛋白合成 / 蛋白合成阻害剤 / 熱ショック蛋白 |
Research Abstract |
AやJタイプのプロスタグランジン(PG)は培養細胞の増殖を抑制し, ある種の細胞では分化を誘導する. この作用は, 一般のPG作用と異なり, PGが細胞に取り込まれ細胞内で作用を発揮することによるが, その分子機構を明らかにするため以下の研究を行った. 1.flow cytometryによるPG処理細胞の細胞動態の解析 HeLaS-3細胞を用い, これを低血清下で84時間培養することにより, 細胞周期をG1期に同調した. この細胞に血清を添加することにより, 細胞周期の進行を促し, この進行に対するPGの効果を観察した. その結果, (1)PGJやAは細胞周期の進行をG1期で特異的に停止させること, (2)この停止点はG1/S期境界より数時間G1期に入った点にあること, (3)このようなG1期停止は, PGをG1期細胞に加えたときのみ起こり, 他の細胞周期にある細胞はこのようなPG作用に非感受性をあること, (5)PG処理の際, シクロヘキシミド, エメチンなどの蛋白合成阻害剤を共存させるとPGの増殖停止効果が強く減弱されること, 等が明らかとなった. 以上の結果は, PG作用の標的がG1期細胞内に存在していること, また, 何らかの蛋白合成がPG作用の発現に関係している可能性があることを示唆したものである. 2.PG処理細胞による蛋白合成パタンの解析 上記の培養細胞系を用い, これを〔^<35>S〕メチオニンでパルスラベルすることにより, コントロール及びPG処理細胞での蛋白合成パタンの変化を解析した. この結果, (1)PG処理により分子量68K, pI5.5〜5.7のいくつかの蛋白が特異的に誘導されること, (2)これらの蛋白は細胞のGI期に一過性にみられる蛋白と同一であり, 更に, 細胞を43°Cにて処理したときに誘導される熱ショック蛋白とも同一であることがわかった. 現在, これらの蛋白のPG作用発現における役割を研究中である.
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[Publications] Narumiya, S.: Advances in Prostaglandinp Thromboxane and Leukotriene Research. 17B. 972-975 (1987)
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[Publications] Narumiya, S.: J. Pharmacol. Exp. Ther.242. 306-311 (1987)
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[Publications] Chno, K.: J. Pharmacol. Exp. Ther.(1988)
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[Publications] Narumiya, S.: Biochem. Biophys. Res. Commun.143. 753-760 (1987)
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[Publications] Yokode, M.: J. Clin. Invest.(1988)
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[Publications] Yokode, M.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (1988)
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[Publications] Narumiya, S.: "Prostaglandins in Cancer Research(Garaci, E.;Paoletti, R.;Santoro, M. G., eds)" Springer-Verlag, Berlin Heidelberg, 288 (1987)