1988 Fiscal Year Annual Research Report
高分子量-多機能プロテアーゼ複合体の分子構造と活性調節機構
Project/Area Number |
62570114
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 啓二 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (10108871)
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Keywords | プロテアソーム / 細胞内分布 / 多成分複合体 / 遺伝子構造 / 造腫瘍性変動 |
Research Abstract |
核と細胞質の共分析:プロテアソームと命名した高分子量-多機能プロテアーゼの細胞内局在性を免疫組織化学的方法で検討した結果、本酵素は予測された細胞質に存在する許りでなく、寧3核に高濃度に分布していることが判明した。この事は高純度に精製した単離核中に酵素化学的及び免疫学的に細胞質プロテアソームと同一の分子が存在する知見からも示唆された。この結果はプロテアソームが核と細胞質を自在に往来している可能性を示しており、この分子の核と細胞質の共分布がその共通な機能の為にあるいは独立した機能の為に存在しているか否かを解くことはこの酵素複合体の生理作用を考察する上で大変興味深い。 遺伝子構造解析:ラット肝プロテアソームを構成するサブユニット群を逆相高分解能液体クロマトグラフィで分離した後、蛋白質化学的分析を行い、それらの情報を基にして作製した合成ヌクレオチドをプローブとして、ラット肝CDNAライブラリーから二種のサブユニットの遺伝子をクローニングした。それらのヌクレオチド配列の決定から一次構造を解析した結果、これらがすでに遺伝子バンクに登録された既知の蛋白質群とは異なった新しい分子種であることが判明した。また各サブユニットは各々独立した遺伝子産物であることが明らかになった。即ち、プロテアソームは真の多成分複合体であると考えられる。しかし、構造解析したこの種のサブユニットのアミノ酸配列には高いホモロジーが同定された為、これらは共通の遺伝子から進化的に発生してきたものと解された。 腫瘍特異的異常発現機構:分離したプロテアソームのCDNAを用いたノザンブロット分析によりこの分子の発現状態を検討した結果、肝癌細胞、各種白血疾細胞ではmRNAが異常に増加していることが分った。しかし再生肝やレクチン処理リンパ球の様な正常な増殖状態ではmRNALベルに変化がなく、この癌化と平行した発現亢進は大変興味深い。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 田中啓二: 最新医学. 43. 730-735 (1988)
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[Publications] Andre-Patrick Arrigo: Nature. 331. 192-194 (1988)
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[Publications] Keiji Tanaka: FEBS Letters. 236. 159-162 (1988)
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[Publications] Keiji Tanaka: Journal of Biological Chemistry. 263. 16209-16217 (1988)
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[Publications] Keiji Tanaka: Journal of Molecular Biology. 203. 985-996 (1988)
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[Publications] Keiji Tanaka: Journal of Cellular Physiology.138. (1989)
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[Publications] Keiji Tanaka: Biochemical Biophysical Research Communication. (1989)
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[Publications] Keiji Tanaka: Biochemical Biophysical Research Communication. (1989)
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[Publications] William Matthews: Proceedings of National Academy of Sciences,U.S.A.(1989)
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[Publications] 田中啓二: 生化学. (1989)
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[Publications] Tsutomu Fujiwara: Biochemistry. (1989)