1987 Fiscal Year Annual Research Report
上皮成長因子(EGF)レセプターが欠損した体細胞遺伝変異株に関する遺伝生化学的研究
Project/Area Number |
62570118
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
小野 真弓 大分医科大学, 医学部, 助手 (80128347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 信彦 大分医科大学, 医学部, 教授 (80037431)
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Keywords | 体細胞変異株 / 上皮成長因子 / レセプター欠損 / 癌化 |
Research Abstract |
マウスBalb/3T3細胞から単離したモネンシン耐性株MO-5は, 上皮成長因子EGFのレセプター活性が欠損している. ^<125>I-EGFを用いた結合活性ではMO-5はBalb/3T3の約1/20以下であった. トランスフォメーション増殖因子TGFのβ型因子による寒天内増殖能は, MO-5とBalb/3T3ではほぼ同レベルであった. しかもこの場合, EGFを外部から添加しなくてもBalb3T3や, MO-5の寒天内集落形成能は影響を受けなかった. しかしながら化学発癌剤であるベンツピレンや4-ニトロキノリンーN-オキシド, またメチルニトロソウレアや紫外線照射によって, Balb/3T3は癌化が誘導されてトランスフォメーションフォーカスを生じるが,MO-5ではほとんどフォーカスの出現は誘導されなかった. ただ, 脱メチル化をおこす5-アザシヂジンによって, MO-5はBalb/3T3と同程度にフォーカスを出現させた. またMO-5ではBalb/3T3と異なり, メチルニトログアニジンによる6-チオグアニン耐性やウアバイン耐性の変異株の出現率は著明に上昇しなかった. 化学発癌剤による癌化の誘導はオンコジンの一つ, rasの活性化と緊密に関連づけられているのでBalb/3T3とMO-5さらに癌化した各々の細胞株におけるras遺伝子構造の変化を対比した. しかしこれら細胞株間で著明な差異はみられなかった. 他方多くのオンコジンの細胞内導入による癌化活性をトランスフォメーションフォーカスの出現で測定した. その結果は, rasやmosの導入によって, MO-5とBalb/3T3は同様にフォーカスの出現がみられるが, ポリオーマmiddleT抗原やsrc遺伝子の導入ではMO-5ではBalb/3T3に較べて明らかに少なかった. 以上の結果は化学発癌剤による癌化過程とsrcやポリオーマによる過程が似ていることを示唆している. 現在ヒトEGFレセプター遺伝子をMO-5に導入して多量に出現させる株を用いて, ポリオーマウィルスによる癌化活性を観察しつつある.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kichinobu Tomita: Journal of biological Chemistry. 262. 1398-1404 (1987)
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[Publications] Yuichiro Kuratomi: Journal of Cellular Physiology. 130. 51-57 (1987)
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[Publications] Akihiko Yoshimura: Journal of Biological Chemistry. 262. 13299-13308 (1987)
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[Publications] Takashi Yoshida: Biochimica et Biophysica Acta. 921. 575-586 (1987)
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[Publications] Chie Yasutake: Cancer Research. 47. 4894-4899 (1987)
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[Publications] 桑野信彦: 組織培養. 13. 216-221 (1987)
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[Publications] Michihiko Kuwano: "Resistance to tunicamycin, compactin, amphotericin B and monensin" CRC Press, N.Y., (1988)