1988 Fiscal Year Annual Research Report
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62570122
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, NCNP |
Principal Investigator |
鍋島 陽一 国立精神神経センター, 神経研究所・遺伝子工学 (60108024)
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Keywords | 細胞分化 / 筋発生 / エンハンサー / 転写調節 / ミオシン軽鎖遺伝子 |
Research Abstract |
研究目的 本研究課題は遺伝子発現の組織特異性、ステージ特異性の解析を手がかりとして細胞の特殊化機構を明らかにすることを目的としている。 研究結果 (a)骨格筋で発現するミオシン軽鎖遺伝子は速筋型LC_1/LC_3遺伝子、遅筋型LC_1、胚型軽鎖L_<23>である。これらの遺伝子は心筋でも発現し、まとめて、横紋筋タイプと呼ぶこともできる。これらの三種の遺伝子が筋細胞で発現するための必須のコア配列が見い出された。いずれの遺伝子においても転写開始点の約100bp程上流に存在し、この配列を欠失すると全く発現しなくなることから、ミオシン軽鎖遺伝子の基本的な発現に必須の配列と結論された。このコア配列は種を越えて保存されている。 (b)骨格筋の発生、分化に従い、速筋型LC_1/LC_3遺伝子の発現は著しく増大するが、その機能を荷なっている領域が-2kb付近に同定された。この配列をLC_1プロモーターの上流、下流に正逆両方向につないだところ、転写活性が著るしく増強されたことから、エンハンサーであると結論された。詳細にその性質を調べたところ、このエンハンサーはプロモーターの選択性のある筋細胞で特異的に作用するエンハンサーであった。 (c)エンハンサー配列を詳細に検討するために細かな欠損変異を多数構築し、その活性を調べたところ、本エンハンサーは2つの要素に分けられた。一方は活性は低いが独立してエンハンサー活性をもっており、他方は単独ではエンハンサー活性を示さないが、独立して働く要素と協調的に作用して、エンハンサー活性を著るしく増強させる性質をもっていた。
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[Publications] Masaki Shirakata.: Mol.Cell.Biol.8. 2581-2588 (1988)
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[Publications] Seiji Nakamura.: J.Mol.Biol.203. 895-904 (1988)
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[Publications] Yo-ichi Nabeshima.: J.Mol.Biol.204. 497-505 (1988)
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[Publications] Yo-ichi Nabeshima.: "Cellular and Molecular Biology of Muscle Development" Alan R.Liss,Inc.,1059 (1989)