1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570123
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, NCNP |
Principal Investigator |
石浦 章一 国立精神神経センター, 神経研究所, 室長 (10158743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 俊文 国立精神神経センター, 神経研究所, 研究員 (60207339)
荒畑 喜一 国立精神神経センター, 神経研究所, 室長 (30053325)
杉田 秀夫 国立精神神経センター, 神経研究所, 部長 (80009951)
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Keywords | Tリンパ球 / 細胞障害 / ミオパチー / パーフォリン / プロテアーゼ / キラーTリンパ球 / CTL |
Research Abstract |
本研究は、細胞障害性Tリンパ球中に存在する細胞障害因子を同定し筋疾患における作用を検討するものであるが、本年度は以下に示す点において新知見を得た。 1.細胞障害性Tリンパ球(CTL)に存在する膜障害タンパク質パーフォリンはCa^<2+>依存的に重合し、標的細胞膜に孔を形成する作用がある。我々は、血しょうの中にこのパーフォリン活性を抑える物質が存在することを見出し、その分離精製に成功した。この物質は分子量50万のタンパク質であり、未だ報告のない新タンパク質であった。 2.CTL中にはパーフォリンの他に細胞障害に関与するセリンエステラーゼ(SE)が存在する。我々は、SEがCTLのみならずLAK細胞にも存在することを明らかにした。また、CTL中ではSEはパーフォリンとは異なる小胞に存在することを示唆するデータも得られた。しかしながら、当初考えられていた事とは異なり、SEは筋構造タンパク質の分解には関与せず、CTL細胞内基質中の別種の酵素によってミオシンが分解されることが判明した。このことにより、SEの役割は細胞障害に直接関与するのではなく、限定分解による他タンパク質の活性化などに寄与しているものと考えられた。 3.リンパ球の細胞内基質には新種のプロテアーゼが存在し、これがATPによって活性化されるタンパク分解酵素であることを明らかにした。 4.CTLによる細胞障害を主徴とする多発性筋炎などのミオパチーは筋ジストロフィーなどの壊死性ミオパチー、遠位性ミオパチーなどの空胞形成ミオパチーとは異なる様式で筋が変性することが明らかとなった。
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[Publications] H.Sugita.: Muscle & Nerve. 10. 516-523 (1987)
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[Publications] S.Ishiura.: J.Biochem.102. 9-12 (1987)
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[Publications] S.Ishiura.: J.Biochem.103. 11-13 (1988)
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[Publications] M.Yamamoto.: Biomed.Res. 9. 11-19 (1988)
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[Publications] H.Koizumi.: Proc.Japan Acad.64. 155-158 (1988)
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[Publications] T.Tsukahara.: Eur.J.Biochem.177. 261-266 (1988)
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[Publications] 杉田秀夫: "骨格筋の構造、機能とその病態" 中外医学社, 483 (1988)