1987 Fiscal Year Annual Research Report
カルモデュリン依存性プロテインキナーゼIIによる微小管とアクチンの相互作用の調節
Project/Area Number |
62570124
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山内 卓 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90041813)
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Keywords | カルシウム / カルモデュリン / アクチン / 微小管 / 蛋白質リン酸化 |
Research Abstract |
申請者はラット脳において新しいCa^<2+>カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(キナーゼIIと略す)を発見し, このキナーゼIIがCa^<2+>による神経機能の調節に重要な役割を果していることを明らかにした. 最近, 申請者はキナーゼIIが微小管とアクチン繊維との相互作用を調節する可能性を見出した. この調節においては, 微小管結合蛋白質2(MAP2と略す)のリン酸化が重要であることが明らかとなったので, この点について詳細に検討した. その結果, MAP2はアクチン繊維とCross-1inkしてアクチンのゲル化を引き起すが, MAP2キナーゼIIでリン酸化することにより, MAP2のアクチンのゲル化活性は完全に消失した. ゲル化活性はMAP2のリン酸化量が増すにつれて, 大きく減少した. MAP2は1モル当り最大約10モルのリン酸化が起るが, このときアクチンのゲル化活性は完全に消失した. またリン酸化したMAP2をプロテインホスファターゼを作用させ脱リン酸すると, アクチンのゲル化活性は完全に回復した. 従ってキナーゼIIによるMAP2のリン酸化-脱リン酸化反応によって微小管とアクチン繊維がCa^<2+>依存性に調節されるものと考えられる. 微小管とアクチンの相互作用は神経細胞の運動系のようなダイナミックな過程にかかわっていると考えられていることから, このような過程がキナーゼIIの作用で調節される可能性が明らかになったことは, 神経組織におけるキナーゼIIの役割がますます注目される.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ichimura,T., Isobe,T., Okuyama,T., Yamauchi,T. Fijisawa,H.: FEBS Lett. 219. 79-82 (1987)