1987 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア電子伝達系酵素欠損症における遺伝子発現とその異常
Project/Area Number |
62570128
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 雅嗣 名古屋大学, 医学部, 助手 (60155166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 高将 名古屋大学, 医学部, 教授 (80022771)
錦見 盛光 名古屋大学, 医学部, 助教授 (20022816)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 酵素欠損症 / 遺伝子欠損 / チトクロム / 鉄-イオウクラスター / 複合体I / 複合体IV / サザンブロット法 |
Research Abstract |
1.ミトコンドリア脳筋症におけるサブユニット異常の解析 1)脳卒中様発作を伴う病型(MELAS)の4症例の生検骨格筋ミトコンドリアを分析した結果, その全例において複合体Iの活性とサブユニット含量の低下を見出した. 特に鉄-イオウ画分中の75KDaのサブユニット, フラヒン蛋白質画分中の51KDaのサブユニット, および疎水性蛋白質画分中の数種のサブユニットの減少が他のサブユニットに比べて顕著であった. さらにEPRスペクトル分析の結果, 複合体IのN2およびN3鉄-イオウクラスターの減少が他に比べて著しく, 複合体Iの構築異常が証明しえた. 別の患者では複合体Iの欠損に加えて, 複合体IVあるいは複合体Vの欠損も見出された. 2ミオクロヌス癲癇を伴う病型(MERRF)では複合体IVの欠損のみならず複合体I, 複合体III, あるいは複合体Vに欠損が認められた. これに対し, 複合体IIあるいはcitrate.synthaseの活性の低下は見られず, ミトコンドリアDNA自身の変異がその原因として第一義的に考えられた. 3)致死性乳児型ミオパチーの家系において酵素サブユニットの広範な欠損が見出された. 同時に複合体Iと免疫交差性を示す異常蛋白質が蓄積していることが明らかになり, 複合体Iの高分子量のサブユニットの1つに対する遺伝子の異常が推定された. 2.ミトコンドリアDNA異常の解析:各組織から全DNAを抽出し, ヒトmtDNAおよびその断片をプラスミドpUC19にクローン化したものをプローブとしてサザンブロット法によって, mtDNAの部分的欠失などの変異の分析を現在行っている. 3.ミトコンドリアにおけるRNAおよび蛋白の合成の解析:mtDNAの変異がミトコンドリア内のmRNAおよび蛋白の合成に及ぼす影響を明らかにするために, 培養細胞を用いたノーザンブロットおよびエメチン存在下での〔^<15>S〕メチオニンのミトコンドリア内で合成されるサブユニットへの取り込みを解析中である.
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Research Products
(17 results)
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[Publications] M. Tanaka;M. Nishikimi;H. Suzuki;T. Ozawa;Y. Koga and I. Nonaka: Biochem. Int.14. 525-530 (1987)
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[Publications] M. Tanaka;M. Nishikimi;H. Suzuki;T. Ozawa;T. Ichiki;M. Kobayashi and Y. Wada: Biochem. Int.14. 735-739 (1987)
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[Publications] M. Nishikimi;H. Suzuki;S. Ohta;T. Sakurai;Y. Shimomura;M. Tanaka;Y. Kagawa and T. Ozawa: Biochem. Int.in press
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[Publications] T. Ozawa;M. Tanaka;H. Suzuki;M. Nishikimi: Brain Dev.9. 76-81 (1987)
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[Publications] M. TANAKA;M. Nishikimi;H. Suzuki;M. Tada;T. Ozawa;Y. Koga and I. Nonaka: J. Inher. Metab. Dis.10. 284-288 (1987)
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[Publications] S. Miyabayashi;T. Ito;D. Abukawa;K. Narisawa;K. Tada;M. Tanaka;T. Ozawa;M. Droste and B. Kadenbach: J. Inher. Metab. Dis.10. 289-292 (1987)
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[Publications] T. Ichiki;M. Tanaka;M. Nishikimi;H. Suzuki;T. Ozawa;M. Kobayashi and Y. Wada: Ann. Neurol.
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[Publications] 小澤高将, 田中雅嗣, 鈴木寛, 錦見盛光: 生体の科学. 38. 42-47 (1987)
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[Publications] 田中雅嗣, 小澤高将: Medical Way. 4. 51-58 (1987)
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[Publications] 小澤高将, 田中雅嗣, 錦見盛光, 鈴木寛: 神経研究の進歩. 31. 579-591 (1987)
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[Publications] 田中雅嗣, 小澤高将: 神経研究の進歩. 31. 653-665 (1987)
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[Publications] 小澤高将, 田中雅嗣: 蛋白質核酸酵素.
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[Publications] 小澤高将, 田中雅嗣, 錦見盛光, 鈴木寛, 田中智子, 細川好孝: 臨床神経学. 27.
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[Publications] 田中雅嗣, 錦見盛光, 鈴木寛, 小澤高将: 日本先天代謝異常学会誌.
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[Publications] 小澤高将, 田中雅嗣: 現代医学.
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[Publications] M. Tanaka;M. Nishikimi;T. Ozawa;S. Miyabayashi and K. Tada: "Lack of Subunit II of Cytochrome c Oxidase in a Patient with Mitochondrial Myopthy.(in Membrane Pathology)" Ann. N. Y. Acad. Sci., 587 (1987)
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[Publications] T. Ozawa;M. Nishikimi;H. Hiroshi;M. Tanaka and Y. Shimomura: "Structure and Assmbly of Mit hondrial Electron-Transfer Complex.(in Bioenergetics)" Japan Sci. Soc. Press. Tokyo. Jayler & Francis. LTD. London, 325 (1987)