1988 Fiscal Year Annual Research Report
自然発症老年性白内障モデルマウスの開発と発症機序の解明ー老化促進モデルマウス(SAM)を用いた実験的研究
Project/Area Number |
62570161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細川 昌則 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (00127135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 京一 京都大学, 胸部疾患研究所, 講師 (20173156)
竹田 俊男 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (00027088)
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Keywords | 老化促進モデルマウス(SAM) / 白内障 / 水晶体 / クリスタリン蛋白 / 加齢現象 / 老化 |
Research Abstract |
1.系統の開発と維持;本年度さらに老化促進モデルマウスSAMーR/3由来老年性白内障自然発症マウスの選抜と純系化が進められ、19世代に達した。遺伝型式の解析もさらに進められ、現在の所、白内障の形質は、単一遺伝子座によるメンデル型の優性、劣性遺伝の型ではない事が示されている。 2.白内障水晶体の形態学的検討;本系統における成熟白内障水晶体は、特徴的な後極の突出を示すが、本年度は、正常及び、成熟白内障の組織学的観察を行なった。マウスは肉眼的に眼を観察後直ちに屠殺され、眼が摘出された。固定、包埋後矢状面で、4μnの連続切片を作成し、各種染色を行なった。成熟白内障では、水晶体後嚢の断裂、水晶体核の後方脱出、水晶核周囲及び後方皮質の水晶体線維細胞の変性膨化、崩壊、液化、水晶体上皮細胞の後方への遊走がみられた。次に、通常マウスでは、3〜4週齢で退縮する硝子体血管系が存続する事が認められた。又その付着部では、水晶体嚢は菲薄化していた。しかし、水晶体嚢が保たれる限り、水晶体線維細胞には大きな形態的変化を来たさない様であり、水晶体の透光性は保たれる様である。従って、硝子体血管系の遺残のみでは、加齢による発症を説明出来ないと考えられた。 3.白内障水晶体の生化学的検討;本年度では、水晶体蛋白質の変化を生化学的に検索したが、水晶体は加齢と伴に総蛋白量は増加するが、本白内障では著減する事が示された。しかし、水不溶性及び尿素不溶性蛋白は、通常の加齢による増加に比べ、著明な増加をみた。両増加画分の定性的検索は現在進行している。水溶性蛋白を、電気泳動法で検索した実験においては、加齢により、αー,βー,γークリスタリンいずれもが増減するが、特に白内障では、βHークリスタリンと思われる蛋白が特異的に減少していた。現在この蛋白の同定、特異的減少の機序、白内障発症との関連を検討中である。
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Research Products
(2 results)