1988 Fiscal Year Annual Research Report
多能性造血幹細胞(CFUーS)の増殖と分化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
62570166
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Research Institution | Department of Pathology, Yokohama City University School of Medicine |
Principal Investigator |
井上 達 横浜市立大学, 医学部病理学教室, 助教授 (50100110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 秀樹 横浜市立大学, 医学部小児科学教室, 助手 (50106316)
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Keywords | 造血幹細胞 / CFUーS / 脾コロニー / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本研究は3つの部分からなり、それぞれの成果の概要は、つぎのとおりである。 1)多能性造血幹細胞(CFUーS)と加齢について、この項目に関しては、主として加齢にともなう造血微小環境の変化について検討した。すなわち、骨髄細胞の液体培養で維持・増殖するCFUーSの脾コロニー形成能と、直接、老若の組合せで骨髄移植を行ってその骨髄から回収されるCFUーSの、脾コロニーの形成能とを検討した。前者については、1Lー3に対する反応性についての比較も行った。老化マウスのCFUーSの造血刺戟因子1Lー3にたいする反応性を、骨髄細胞の2日間培養後、回収した細胞の脾コロニーを観察するSpuvakの方法で検討すると、老化マウスのCFUーSの反応性は必ずしも劣っておらず、むしろ高かった(平林容子、他 老化マウスにおける造血幹細胞の増殖と造血微小環境 日血総会、1988、京都)。 2)多能性造血幹細胞(CFUーS)の放射線感受性 この項目については、文献的整理及び、都合3回の追加実験によって、双方の面から、推測通りの、CFUーSの放射線感受性にかんするheterogeneilyを確認した。成果の概要は、中国の中華医学会が1988年3月27〜4月8日抗州市にて主催した大線量放射線の生物学的影響に関する国際会議に招かれた際に発表した。 3)多能性造血幹細胞(CFUーS)とリンパ球系前駆細胞:この項目について、人為的に、ヒトmyc遺伝子を挿入したトランスジェニック・マウスを理化学研究所・相沢慎一博士より供与をうけ、このものの骨髄細胞ならびに、胸線細胞に由来する、支持細胞株の樹立を試みた。このマーカーをゆうする支持細胞の活用により、本課題の追求への道が開かれた。
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[Publications] Inoue,T.;Hirabayashi,Y.;Shibagaki,T.;Sasaki,H.;Kanisawa,M.: Experimental Hematology.
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[Publications] Hirabayashi,Y.;Inoue,T.;Yoshida,K.;Inayama,Y.;Kanisawa,M.: Experimental Hematology.
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[Publications] Cronkite,EP.;Drew,RT.;Inoue,T.;Hirabayashi,Y.;Bullis,JE.: Environmental Health Perspective.
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[Publications] Shimizu,A.;Tarao,K.;Takemiya,S.;Harada,M.;Inoue,T.;Kanisawa,M.: Hepatology. 8(6). 1535-1539 (1988)
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[Publications] 井上達: "「病理学テキスト(仮称)」の老化と老年病の病理" (1989)