1988 Fiscal Year Annual Research Report
広東住血線虫症における髄液の好酸球増多と好酸球の役割に関する免疫学的研究
Project/Area Number |
62570170
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 和人 秋田大学, 医学部, 助手 (60006731)
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Keywords | 広東住血線虫 / 好酸球 / 虫体由来好酸球遊走因子 / レセプター / 骨髄培養 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。1.骨髄培養:固有宿主のラット(Wistar)に広東住血線虫を感染後30日に縦隔リンパ節と腋下リンパ節のリンパ球を採取し、これを第1期幼虫(L1)抗原で刺激して得られるconditioned medium(CM)はラット骨髄好酸球のin vitroでの生存延長(少なくとも5日間)に有効である。また、非固有宿主のマウス(ddY)に本虫を感染させ、感染後5〜17日に得られた脾細胞や頚部リンパ節リンパ球を幼若成虫(YA)抗原と共に培養して得られるCMは好酸球の産生、または生存延長に有効であった。感染後8〜12日のマウスのリンパ球は抗原無添加でもこのような因子を遊離することがわかった。2.広東住血線虫由来の好産球遊走因子(ECF)に対するモルモットとラット好酸球の遊走能:(1)YAのECFは分子量が16900、熱に比較的安定で、pronase処理に抵抗し、periodateによる酸化に感受性を示した。つまり、活性は本分子の糖部分に存在すると推察される。(2)モルモット好酸球(GP-EO)はYAやL_1由来のECFに対するreceptorを有するが、ラット好酸球(R-EO)はL_1-ECFに対するreceptorを有するものの、YA-ECFに対するreceptorはこれを欠除するか、receptor保有好酸球が著しく少ない。この知見は、非固有宿主(モルモット、マウス)における髄液好酸球増多や外科的に移植されたモルモット肺動脈内虫体周囲への好酸球浸潤を理解する上で有用と考えられる。(3)GP-EOのYA-ECFに対するreceptorはtrypsin(5mg/ml)やpronase(5μg/ml)の処理で失活するがin vitroで24時間培養すると機能が回復する。3.ラットにおける再感染防御と好酸球の役割:3系統(ACI,AUG,Wistar)のラットに50隻のL_3を感染後6週に再感染(50〜70隻のL_3)させると、いずれの系統でも再感染防御が認められるが、ACIのそれは他の2系より弱い。再感染防御能を有するラットの腹腔へYAを移植すると好酸球が虫体に付着して、脱顆粒する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sugaya,H.;Yoshimura,K.: Parasite Immunology. 10. 127-138 (1988)
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[Publications] Yoshimura,K.;Sugaya,H.;Kawamura,K.;Kumagai,M.: Parasite Immunology. 10. 411-424 (1988)
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[Publications] Tani,S.;Yoshimura,K.: Parasitology Research. 74. 495-497 (1988)
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[Publications] Yoshimura,K.;Ishida,K.;Ishigooka,S.;Sugaya,H.;Kumagai,M.: Parasitology Research.
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[Publications] Yoshimura,K.: "The eosinophil in parasitic infections.In"Current Concepts in Parasitology"edited by R.C.Ko" University of Hong Kong Press, (1989)