1988 Fiscal Year Annual Research Report
急性・慢性日本住血吸虫症のモノクローナル抗体を用いた循環抗原の検出と治療効果判定
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62570172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 肇 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30114648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 寛 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012692)
林 正高 市立甲府病院, 神経内科, 部長
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Keywords | 日本住血吸虫症 / モノクローナル抗体 / 循環抗原 |
Research Abstract |
1.(1)日本住血吸虫症の排泄・分泌(ES)抗原をSDS-PAGEで展開後、Immunoblotting法により感染ウサギ血清で検討した。感染初期(3週)に出現する抗体は、分子量31/32kdの蛋白と強く反応し、このバンドは感染40週以降まで存続した。他の宿主(ヒト、マウス)においても同一抗原を認識する抗体の存在が認められ、31/32kd抗原はES抗原の主要バンドと推測され、(2)31/32kd抗原を認識する抗体は、プラジカンテルでの完全治療により、2ヶ月後に急激に消退することから治癒判定にも本抗原が有用であることが示唆された。2.ES抗原に対するモノクローナル抗体(MAB)の作製と性状を検討した。ES抗原に対して高いELISA値を示す融合細胞上清をクローニングし、5種のMABを樹立した。これらは全て免疫蛍光法で成虫の消化管と強く反応し、Immunoblotting法により4種のMABが31/32kdの抗原と強く反応した。3.MABを用いた二抗体Sandwich法による抗原検出を検討した。ES抗原を用いたスクリーニングの結果、最も鋭敏で成虫のTCA可溶性抗原(AWA-TCA)と反応し、虫卵抗原とは反応しない1-7B(IgM)MAbを選別した。4.ES抗原を抗ES抗体に添加したところ、強固な免疫複合体(CIC)を形成し、抗原検出は不可能となった。各種の血清処理を行った結果、3%PEG法でCICを沈澱させ、加熱(90℃、10分)により抗体を失活させた上で検出可能となり、検出感度は1μg/ml(ES)、及び0.3μg/ml(AWA-TCA)であった。5.感染ウサギ血清中の循環抗原(CA)は、感染濃度に比例して出現し、500隻以上のセルカリア感染でCAが検出され、6週以降高い血中レベルが続いた。虫卵陽性者のCA検出率は7/50例(14.0%;1%危険率)で、慢性症(抗体陽性者)では全て陰性であった。以上のように、ES抗原の主要バンドと反応し、成虫の消化管由来の抗原を認識するMAbによる血中循環抗原の検出が可能となった。更に高感度測定法の検討が望まれる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hajime,Matsuda: THE JAPANESE JOURNAL OF EXPERIMENTAL MEDICINE. 58. 79-86 (1988)
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[Publications] 松田肇: 寄生虫学雑誌. 37. (1988)
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[Publications] 松田肇: 寄生虫学雑誌. 38. (1989)