1988 Fiscal Year Annual Research Report
貝体内でのマンソン住血吸虫幼生の発生方向とそのmRNAの抽出
Project/Area Number |
62570180
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野島 尚武 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70039923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内川 隆一 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80145466)
野田 伸一 鹿児島大学, 医学部, 助手 (60112439)
佐藤 淳夫 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50020714)
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Keywords | Schistosoma mansoni / Echinostoma paraensei / スポロチスト / 無脊推動物の免疫 / セルカリアの産生リズム / 生体内クローン / 発生方向 / hemocyte |
Research Abstract |
先年度にスポロシストの分離法とクローン幼生作成を確立させたので本年度は、種々の物理的、生理学的、免疫学的条件を宿主貝に与え、germcellの発生学的観察を行い、制御下にある各発育段階の幼虫を用いて、その時に発現しているmRNAの抽出を行い発生方向との関係を追究するものであった。ここで、スポロチスト移植前の飼育液の種類で移植感染率が異なることが分かった。即ち、Schneider's Drosophila培養液では31.3-55.6%と高い移植感染率が0.3%の生食水では.0-0.3%とほとんど移植は成功しない。このことから、移植感染率に及ぼす影響に『移植する時の移植片以外の異物』が関与することが分かり、先ず、異物を排除する宿主貝(Biomphalaria glabrata)の白血球(hemocyte)の分類を検討し、Echinostoma paraensei(吸虫類にあって貝体内での初期寄生部位として心臓内を選択する特異なもの)が本研究の材料であるマンソン住血吸虫に対する貝の感受性を変化させる報告があることを背景に、Echinostoma paraenseiの感染経過における種類別hemocyteの分画率、更に、そのhemocyteの貧食能力を調べてみた。その結果E.paraensei感染8日後、感染貝では異物不感のhemocyteの種類の割合が最も増加し、その後減少した。round cellがその異物不感のhemocyteに属し、round cellが多い時の貝ではマンソン住血吸虫抵抗の貝であってもその感受性が非常に高まることが推測される。hemocyteの細胞別の分画率が免疫学的な背景を表わしていることが分かったので、更に、これを貧食能力でみてみた。経過観察に連れて、先の貝の免疫応答(感受性)との細胞分画率との関係を、貧食能力とhemocyteの細胞分画率との関係で再確認することができた。このようなことからmRNAの分離するために必要な発育段階を揃えるには、hemocyteの細胞分画を指標とする免疫学的な制御が有効で、今後の研究の方向付けがなされた。
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[Publications] Noda,Shinichi.: Parasitology.
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[Publications] Noda,Shinichi.: Journal of Parasitology.