1988 Fiscal Year Annual Research Report
細菌細胞壁成分(MDP)による広範な出血性壊死について
Project/Area Number |
62570191
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Research Institution | Department of Biochemistry, Shimane Medical University |
Principal Investigator |
永尾 重喜 島根医科大学, 医学部, 助手 (50112131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢川 克郎 九州大学, 医学部, 助手 (90183665)
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Keywords | 壊死性反応 / 結核菌 / ムラミルペプチド / 準備注射 / MDP / 惹起注射 / モルモット |
Research Abstract |
結核菌をフロイントの油中水型乳剤として後足蹠に投与(準備注射)し、4週間後結核菌注射部位とは全く別の側腹部皮内にMDP水溶液を100〜400μg注射することによって、結核菌注射部位に惹起される出血性壊死反応を見出し、本反応がシュワルツマン反応およびコッホ現象とは異なる新しい現象であると報告した。そこで、今年は本反応のメカニズムについて検討した。 1.準備状態成立には、免疫反応を誘導するような炎症の場が必要であることを見出しているので、正常モルモット、フロイント不完全アジュバント注射モルモット、及びMDPをフロイント不完全アジュバントに混じた乳剤を投与したモルモットに、準備状態が成立しているモルモットのリンパ節細胞を足蹠皮内と静注によって投与後、本反応がMDPによって惹起されるか否かを検討したが、細胞移入では本反応は成立しなかった。 2.本反応惹起に、toumor necrosis factor(TNF)及びInterleukin-1(IL-1)の関与が考えられたので、リコンビナントTNF及びIL-1を種々の濃度投与したが、本反応は惹起されなかった。それ故、本反応惹起にはマクロファージ因子の直接作用は否定できるかもしれない。 3.次に、本反応惹起前後の血清中の種々の成分の変化を調らべた。補体活性の減少、血液凝固遅延、血小板の減少及び脂質の増加が著明にみられた。その他血清中のいくつかの酵素活性が減少しているが、なお詳細に検討したい。 4.本反応前後の病理学的変化を調べたが、光顕レベルでは、心、肺、肝、肝臓等々に著名な変化は認められなかった。 以上、本反応惹起に関するメカニズムについて検討したが、十分な解析ができなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shozo Kotani.: Federation Proceedings. 45(11). 2534-2540 (1986)
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[Publications] Shigeki Nagao.: Infection and Immunity. 55(5). 1279-1288 (1987)
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[Publications] 永尾重喜: 日本細菌学会誌. 42(6). 801-815 (1987)
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[Publications] 永尾重喜: 免疫薬理. 6. 34-40 (1988)
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[Publications] Shigeki Nagao.: Infection and Immunity. (1989)
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[Publications] Shigeki Nagao.: Infection and Immunity. (1989)