1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570197
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中江 太治 東海大学, 医学部, 教授 (50102851)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 頼子 東海大学, 医学部, 研究員
良原 栄策 東海大学, 医学部, 助手 (70167063)
|
Keywords | 外膜 / 透過孔 / 緑膿菌 / 薬剤耐性 / 排除限界 / 日和見感染 |
Research Abstract |
本研究の目的は癌, 移植等の基礎疾患を有する患者に頻繁に感染するグラム陰性菌外膜の溶質及び抗生物質透過性を明らかにすることにある. 本年度研究計画の一つは緑膿菌外膜に透過孔を形成するタンパク質が従来言われていたFタンパク質であるのか否かを明らかにすることであった. 本研究ではFタンパク質欠損株を用いて次のような実験を行った. (i)F欠損株から外膜を分離し, これをリポソームに再構成して糖質の透過を測定した. その結果F欠損外膜を組み込んだリポソームはペントースやヘキソースをよく透過させるがメチルヘキソース以上の糖質の透過速度は極度に低いことが明かとなった. (ii)この変異菌外膜を組み込んだリポソームの透過性は野性株の外膜を組み込んだリポソームの溶質透過性と区別できなかった. (iii)F欠損株もしくは野性株の外膜を組み込んだリポソームを用いて抗生物質の透過率を測定した. その結果数種のβ-ラクタム剤の透過に関してF欠損株と野性株の外膜透過に差がないことを見いだした. これらの結果のすべてはFタンパク質は緑膿菌外膜のポーリンではないことを示し, 当然のことながらFタンパク質は抗生物質の外膜透過に関わっていないことを明かとした. 二番目の研究計画はAlcaligenes faecalisの外膜を介しての溶質及び抗生物質の透過性を明かとすることであった. 研究の結果次の結論が得られた. (i)この菌の外膜は分子量約300以上の糖質を透過させない. (ii)この菌のポーリンはMr,43,000の外膜タンパク質と同定された. (iii)この菌のポーリンを介してのブドウ糖及びβ-ラクタム剤の透過速度は大腸菌Bポーリンを介してのそれと比較して各々に約10%及び10-40%程度であった. これらの結果はA.faaecalisの薬剤耐性の機序の一つに外膜の透過性の低さが関与している可能性を示唆した.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kobayashi,Yoriko: FEMS Microbiology letters. 48. 325-329 (1987)
-
[Publications] Ishii,Junko: Antimicrobial Agents and Chemotheraphy. (1988)