1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570197
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Research Institution | Tokai University School of Medicine |
Principal Investigator |
中江 太治 東海大学, 医学部, 教授 (50102851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 頼子 東海大学, 医学部, 研究員
良原 栄策 東海大学, 医学部, 助手 (70167063)
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Keywords | 細菌膜 / 外膜 / 透過性 / 孔 / 緑膿菌 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
本研究の目的は特に免疫力の低下した患者に頻繁に感染を起こすグラム陰性菌外膜の透過性を明らかにする事である。昨年度の研究から緑膿菌外膜にある透過孔はこれまで言われていたように分子量数千の多糖が透過できるような大きなものではなく、二糖類がやっと透過できる程度の小さな孔であることが明らかとなった。今年度の研究計画の一つは緑膿菌外膜に小さな透過孔を形成するポーリン蛋白質を同定して、その蛋白質の作る孔の透過性を調べることである。 緑膿菌野生株からEDTAーリゾチームを用いた方法で外膜を精製し、この外膜を68mMオクチルグルコシドを含む溶液で可溶化した。可溶化された外膜成分(外膜蛋白の95%以上を含む)はDEAE-HPLCカラムでクロマトグラフィーを繰り返すことにより精製された。この様にして外膜タンパク質C(分子量70K)、D(同、46K)、E(同、43K)、G(同、25K)、H(同、19K)及びIがほぼ単一に精製できた。そこでこの精製蛋白質をフォスファチジルコノンとジセチルリン酸とから成る人工膜に再構成した。この再構成膜を用いて外膜と同様の透過性つまり単糖類はよく透過させるけれども二糖類以上の糖質は透過できないような孔を形成するタンパク質を検定したところ上記蛋白質の内C、D及びEがそれに相当することを同定した。他の蛋白質には孔形成能は認められなかった。これらタンパク質の形成する透過孔は昨年度の研究で明らかとなった緑膿菌外膜の示す透過孔の性質と区別できない程近いものであった。即ちこれらポーリンの形成する孔はペントース(分子量、150)、ヘキソース(同、180)は比較的よく透過させるが二糖類(同、342)以上の糖質の透過は極度に低かった。この様な結果から緑膿菌が高度薬剤耐性を示す原因の一つは緑膿菌外膜に存在する小さな透過孔を抗生物質等が自由に透過出来ないものによるものと解釈できた。当然の事であるが耐性には他の因子も影響を及ぼす。
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[Publications] Yoshihara,Eisaku;Gotoh,Naomasa;Nakae,Taiji,: Biochemical and Biophysical Research Communications. 156. 470-476 (1988)
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[Publications] Yoshihara Eisaku;Nakae Taiji: Journal of Biological Chemistry.
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[Publications] Nakae Taiji;Yoneyama Hiroshi;Ishii Junko,: Journal of Microbiological Methods.