1987 Fiscal Year Annual Research Report
マレック病ウイルスのトランスフォーム遺伝子とその産物の同定に関する研究
Project/Area Number |
62570203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 和良 微生物病研究所, 感染病理学部門, 助手 (60127181)
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Keywords | 試験管内トランスフォーメーション / 腫瘍関連抗原 / マレック病ウイルス / Tリンパ芽球様細胞 |
Research Abstract |
マレック秒(MD)は, MDウイルス(MDV)によっておこるニワトリの流行性の悪性リンパ腫症である. 当研究室において初めて,MD腫瘍から長期継代可能なTリンパ腫細胞株が樹立された. しかし, ニワトリリンパ球の試験管内MDV感染による細胞株の樹立に関しては成功例の報告がなかった. そこでニワトリ胚リンパ球にMDVを感染させ, その後インターロイキン2存在下で培養することにより, 初めて長期継代可能なTリンパ芽球様細胞株の樹立に成功した. しかし, 感染性MDVが得難いことから, 試験管内感染によるトランスフォーム細胞株を得る為の条件を確立するまでには至っておらず, 現在までに1株得られたのみである. 得られた1株について, その性状解析を進め, マレック病にニワトリリンパ腫に由来する細胞株との比較を行なった. その結果, 試験管内感染により得られた細胞株は, ニワトリに可移植性を示した. この移植率は, ニワトリの加齢と共に低下した. 移植されたニワトリの脾および肝から再び培養することは容易であった. この培養細胞のMDV抗原の発現を調べたところ, 私達が先にマウスモノクローナル抗体を作成することにより同定していたMDVりん酸化蛋白(P)抗原の発現率のみが大きく序章していることが明らかになった. この事実から, P抗原がMD腫瘍関連抗原と考えられた. そこで, P抗原をコードする遺伝子領域によるトランスクエクション実験を進める目的で, MDV, DNAライブラリーから検索した. 現在までに, このP抗原に関しては成功していないが, 発現率の高いA糖蛋白抗原について, MDV, DNAのBamHI断片18.3kbを有するプラスミドでLLC-MK2を形質転換させ, G418を含む培地中で培養し, 出現したコロニーをクローニングして得られたG418耐性細胞にA抗原の発現を認めた.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazuyoshi Ikuta: Int. J. Cancer. 39. 514-520 (1987)
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[Publications] Kazuhiro Nakajima: J. Gen Virol.68. 1379-1389 (1987)
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[Publications] Akihiro Kanamori: J. Gen Virol.68. 1485-1490 (1987)