1988 Fiscal Year Annual Research Report
マレック病ウイルスのトランスフォーム遺伝子とその産物の同定に関する研究
Project/Area Number |
62570203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (60127181)
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Keywords | マレック病ウイルス / 腫瘍関連抗原 / トランスフォーム遺伝子 / Tリンパ芽球様細胞 / 可移植性 |
Research Abstract |
マレック病ウイルス(MDV)の、腫瘍原性に関連すると思われるMDV・DNA領域からのmRNAレベルにおける発現を調べた。MDVの腫瘍原性株に特異的な制限酵素断片、Bam HIーDおよびーHに共通するinvert repeat部分から転写されるmRNAを調べたところ、2.3Kb、4.6Kbのpoly Aを含むmRNAが同定された。このうち、2.3Kbが主なものであった。一方、非腫瘍原性MDV感染細胞内では、これらのmRNAは認められず、代わりに3〜10Kbのpoly Aを含むheterogenousなmRNAが認められた。2.3Kbおよび4.6KbのmRNAは、マレック病リンパ腫由来株細胞内でも発現していた。 また、MDV1型による試験管内感染によりトランスフォームした細胞であるMDCCーMTB1細胞について、特にMDV1型特異的リン酸化蛋白抗原(P抗原)の発現を調べた。MTB1は、ニワトリに可移植性を示し、ニワトリの各種臓器に腫瘍を形成する。そこで、移植後のニワトリの脾臓腫瘍から、再び細胞培養を試みた。P抗原に対するマウス単クローン抗体を用いた蛍光抗体により、MTB1細胞と移植後のMTB1細胞とのP抗原の発現率を調べた。その結果、ニワトリに移植することにより、P抗原の発現率が、1〜2%から10〜20%に上昇していることが明らかになった。しかし、IUdR処理によってのみP抗原は発現した。私達は、先にマレック病ニワトリの腫瘍病巣に一致して、P抗原の発現していること、しかし、他のウイルス構造蛋白抗原(gA抗原等)は発現していないことを報告し、このP抗原がいわゆるT抗原である可能性を示唆した。しかし、マレック病ニワトリ腫瘍に由来する株細胞においては、IUdR処理後に初めて、些か1〜2%の細胞が発現するのみであった。今回ニワトリに移植することにより、このP抗原の発現率が上昇し、今後両者の差異を検討するのに有用な系と考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hirai,Kanji: Proceedings of the Third International Symposium on Marek's Disease.
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[Publications] Ikuta,Kazuyoshi: Proceedings of the Third International Symposium on Marek's Disease.