1987 Fiscal Year Annual Research Report
新型ヒトパピローマウィルスHPV47の分子レベルでの分類学的研究
Project/Area Number |
62570209
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
石橋 正英 愛知県がんセンター, ウィルス部, 部長 (70029776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 透 愛知県がんセンター, ウィルス部, 研究員 (10186356)
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Keywords | ウィルス / 疣贅 / いぼ / パピローマ / DNA / 潮基配列 / 相同性 |
Research Abstract |
我々は疣贅様表皮発育異常症の患者より新型ヒトパピローマウイルス(以下HPVと略称する)DNAを分離した(暫定的にHPV47DNAとよんでいる). 本研究はこのウイルスについて本年を初年度として2年間に行なうものであり, 次の点を目的としている. (1)ウイルスDNA上で初期遺伝子(E)群や後期遺伝子(L)群がどのように配置されているかの大略を明らかにする. (2)その遺伝子配置や塩基配列の状況からHPV群におけるのウイルスの分類学的位置を推測する. そして, これまでの研究により以下の様な成果を得つつある. HRV47DNAを制限酸素pst1を用いて4つの断片(A, B, C, D)に分け, その各々をベクターpTZ18系に組み込んだ. そのうち3つの断片(A, B, C)の各々の両端から概略200の整数倍にあたる塩基対を欠損した種々の長さの断片を, 特異性の異なるヌクレアーゼを組合せ利用して, 作成した. そして, Sanger法により, 計, 約6000塩基対の配列の大略を決定した. その結果と既報の HPV8DNAとの塩基配列の相同性検索により(1)の研究目的の大筋は達成した. 従来から用いられているKlenowのDNAポリメラーゼを用いた場合に, 解析困難な塩基配列部位が, 最近入手が容易になったT7ファージポリメラーゼを用いることによって解明される場合が相当あった. このようにして, A断片(2450塩基対)の塩基配列は確定した. そして, その配列上に翻訳可能枠組み(ORFと略す)を探索した. その結果, 一方の転写方向に3つのORFが存在し, それらはHPV8DNAとの相同性から, L1の3´末端側部分, E6の全て, およびE7の5´末端側一部であることが判った. また, L1とE6の間には上流制御領域に相当する領域があり, 転写のためのプロモーターやエンバンサーに関連した配列とか, ポリアデニル化信号などが他のHPVと同じように存在することが判った. 今後, A以外の断片の塩基配列を確定的なものとして目的を全うしたい.
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