1988 Fiscal Year Annual Research Report
HLA-D領域の遺伝的構築の解析と疾患感受性遺伝子の同定
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62570210
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇坂 明美 北海道, 医学部, 助手 (90113646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名取 孝 北海道, 医学部, 助手 (00001892)
菊地 由生子 北海道, 医学部, 講師 (60002119)
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Keywords | HLA-DQ抗原 / インスリン依存性糖尿病 / 宿主要因 |
Research Abstract |
IDDMの宿主要因には少なくとも3個の遺伝子の関与が示唆されている。うち一つはHLAクラスII遺伝子で、白人においては患者のほとんどがHLA-DQβ鎖の57番アミノ酸残基(DQβ-57)がAsp以外のアミノ酸のホモ接合であることが明らかにされた。ところが日本人IDDMと相関するDQW4、DQW9抗原のDQβ-57はいづれもAspである。そこで患者のDQW4、DQW9には何等かの変異が存在する、即ち患者のDQβ-57は健常人と異なり非Aspではないかと考えられた。そこで患者と同一HLA遺伝子型を有する健常同胞の存在する5家系を捜し、RFLPおよびMLCで両者を比較した。DR、DQをプローブとしたRFLPでは、用いた14種いづれの酵素においても差異が見られず、またMLCにおいても反応が起きなかった。これらの事実から、日本人IDDM患者のDQβ-57は健常人と同じAspであり、患者に特有な変異は無いと結論された。そこで、日本人IDDMの感受性を決定するアミノ酸残基の有無をDQβ-57以外に存在すると考え、DR、DQ抗原の全ての多型アミノ酸残基比較した。その結果DR抗原β鎖のアミノ酸残基57番(DRβ-57)が非Aspであるために感受性となったと考えると良く相関し、またこれ以外にはIDDMに対する感受性を説明できる箇所はなかった。既に発表されているアミノ酸配列を利用して患者のDR表現型からDRβ-57を推定すると、Asp、非Aspの頻度は健常人と有意のづれが見られ、その分離比は劣性モデルに合致していた。またDRβ-57に非Aspを持たない患者では、全てが白人と同じようにDQβ-57に非Aspを有していた。以上の結果よりIDDMの発症にはDQβ-57もしくはDRβ-57のいづれかが非Aspのホモ接合であることが必要であると結論された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kojima,H.: Immunogenetics. 27. 145-147 (1988)
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[Publications] Aparicio,J.M.R.: Immunogenetics. 28. 240-246 (1988)
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[Publications] Sasaki,H.: Jpn.J.Hum.Genet.33. 423-438 (1989)
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[Publications] Aparicio,J.M.R.: Jpn.J.Hum.Genet.(1989)
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[Publications] 脇坂明美: 医学のあゆみ. 145. 545 (1988)
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[Publications] 脇坂明美: 医学のあゆみ. (1989)
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[Publications] 脇坂明美: "Annual Raview免疫1989" 中外医学社, 132-140 (1989)
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[Publications] 脇坂明美: "医科遺伝学" 南江堂, (1989)