1988 Fiscal Year Annual Research Report
HLA抗原を認識するTリンパ球抗原レセプターの同定と遺伝的拘束の分子機構の解明
Project/Area Number |
62570219
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 助教授 (10101932)
|
Keywords | HLA / クラスII抗原 / 形質転換細胞 / MLC活性 / PLT活性 / T細胞抗原レセプター / 遺伝的拘束 / 遺伝的多型性 |
Research Abstract |
同種異系間の移植において、移植片の定着の可否を決定する遺伝子座として同定され、高度の遺伝的多型性をしめす主要組織適合性抗原系(MHC)のなかで、クラスII抗原は免疫担当細胞間の相互作用が疾患感受性などの生体防御機構に深く関わっている。このクラスII抗原はマクロファージャBリンパ球膜上に発現され、いわゆる遺伝的拘束機構(MHC拘束)により、ヘルパーT細胞の誘導と活性化に重要な機能をになっている。本年度は、昨年度のHLAクラスII抗原DQの形質転換系による解析に引き続いて、このHLA抗原DP遺伝子クローンをマウスL細胞がヒトリンパ球系細胞(HL60、U937、CEM)に導入し、抗原提示におけるHLAクラスII抗原を認識するT細胞膜上のT抗原レセプターの同定、その遺伝子の再編成及び遺伝的拘束の分子機構を解明する糸口として、形質転換細胞のin vitroにおけるT細胞への抗原提示能を中心に、その機能的発現について解析をおこなった。その結果、DQ抗原と異なりDP抗原は明確なMLC活性、すなわち第1次刺激によるT細胞を治性化する機能は認められないが、二次刺激あるいはアロ抗原を特異的に認識するT細胞クローンの増殖を誘導することが証明された。このようにクラスII抗原形質転換細胞は、クラス抗原の機能解析だけでなく、誘導されるT細胞の性質がT細胞抗原レセプターの同定及び免疫応答のin vitroでの再現と遺伝的拘束の分子機構の解明に適切な材料となりうると考えられる。実際、DQ形質転換細胞によってアロの糸で誘導されるT細胞は、PWM刺激PBL抗体産生系を抑制するサプレッサー活性を有していたがDRとDP形質転換細胞にはそのような作用はみいだせなかった。現在、これらのT細胞のクローニングをおこなっており、これらのT細胞レセプターの遺伝子を詳細に解析することにより、HLA抗原を認識するT細胞抗原レセプターの遺伝的拘束の分子機構を解明しうるであろう。
|
-
[Publications] 猪子英俊: 臨床免疫. 20. 43-51 (1988)
-
[Publications] 猪子英俊: 代謝. 25. 507-522 (1988)
-
[Publications] Masahiro Maeda,: Human Immunology. 21. 239-248 (1988)
-
[Publications] Hajime Takata,: Immunogenetics. 28. 265-270 (1988)
-
[Publications] Jun Kawai,: J.Immunol.142. 312-317 (1989)
-
[Publications] Noboru Uryu,: Human Immunology. (1989)
-
[Publications] Hidetoshi Inoko,: "HLA in Narcokpsy" Springer-Verlag, 208 (1988)
-
[Publications] 猪子英俊: "Annual Review 免疫 1988" 中外医学社, 351 (1988)