1988 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン1リセプターの発現を中心にした リンパ球活性化機構の解析
Project/Area Number |
62570222
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
山下 優毅 産業医科大学, 医学部・免疫学教室, 助教授 (00028680)
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Keywords | インターロイキン1 / インターロイキン1リセプター / B細胞 / HLAーDR抗原 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
アイソトープおよび蛍光物質でラベルしたインターロイキン1(IL1)を用いて、ヒトB細胞上のインターロイキン1リセプター(IL1R)の発現機構について解析を行い、昨年報告したT細胞のそれと比較検討を行った。(1)ヒト末梢血B細胞は刺激しない状態ではほとんどIL1Rを発現していなかったが、黄色ブドウ状球菌体成分(SAC)で刺激すると、1時間でIL1Rが検出されるようになり、6時間でピークに達した。この反応はT細胞のそれに比べてかなり早かった。(2)アイソトープでラベルしたIL1αのB細胞への結合は、IL1αおよびIL1βでは阻害されたが、IL2、インターフェロンγでは阻害されないことから、IL1RはIL1に特異的であるが、IL1αとIL1βは同じIL1Rを共有していると考えられた。(3)Scatchard plot解析によりSACで刺激したB細胞上のIL1Rは、結合定数4×10^<-12>Mの高親和性のものが約300個と、結合定数4×10^<-10>Mの低親和性のものが約2000個発現していた。この数はT細胞のそれに比べて約10倍多いものであった。(4)蛍光物質でラベルしたIL1を用いてフローサイトメトリーで解析すると、無刺激のB細胞では5%以下の細胞しかIL1Rを発現していなかったが、SAC刺激により約20%の細胞がIL1Rを発現するようになった。(5)B細胞をSACで刺激する時に、抗HLAーDR抗体を存在させると、IL1Rの発現は見られなかった。(6)B細胞をSACおよび、IL1、IL4、IL6で刺激すると、DNA合成反応や抗体産生細胞への分化が誘導されたが、ここに抗HLAーDR抗体を存在させると、両者の反応とも誘導されなかった。(7)B細胞の活性化においてIL1、IL4は初期に、IL6は後期に作用することがわかった。以上より、B細胞が抗原で活性化される際に、HLAーDR抗原を介したB細胞間相互作用が存在し、その結果IL1Rが発現し、そこにIL1が作用すると、IL4R、IL6Rが発現し、そこにIL4、IL6が作用することにより、B細胞の増殖・分化が誘導されると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tanada,Y.,et al.: Cell.Immunol.112. 251-261 (1988)
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[Publications] Shirakawa,F.,et al.: Cancer Res.48. 4284-4287 (1988)
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[Publications] Shirakawa,F.,et al.: proc.Natl.Acad.Sci.USA.85. 8201-8205 (1988)
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[Publications] Tanaka,Y.,et al.: J.Immunol.141. 3043-3049 (1988)
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[Publications] Tanaka,Y.,et al.: J.Immunol.142. 167-172 (1989)
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[Publications] Shirakawa,F.,et al.: Cancer Res.49. (1989)
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[Publications] Yamashita,U.;Ikegami,R.: "Proceedings of International Conference on Industrial Health and 8th UOEH International Symposium" (1989)
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[Publications] Kayama,F.,et al.: "Proceedings of International Conference on Industrial Health and 8th UOEH International Symposium" (1989)