1987 Fiscal Year Annual Research Report
生体染色法を用いた化学物質の発生毒性発現過程の観察-蛍光顕微鏡法の応用-
Project/Area Number |
62570234
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 信雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30009998)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野澤 照夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80152544)
吉葉 繁雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90056549)
|
Keywords | 生体染色法 / 蛍光顕微鏡法 / 器官形成期胎芽 / 発生毒性 / アクリジン・オレンジ(AO) |
Research Abstract |
すでにAO蛍光色素による生体染色法を用い, マウス着床前胚が生体内においていかに染色され蛍光顕微鏡にて観察されるかについて報告した. 本研究ではマウス器官形成期に母獣にAOを投与し胚への移行動態および胎芽の形態形成過程を観察した. 方法・結果:1.AO40mg/kgをメスマウス(生後16週)腹腔内投与し, 尾静脈より経時的(10・30分1・2・3・4・6・8時間後)に採決し塗抹標本を作成した. 蛍光顕微鏡にてAO被染細胞数の消長を観察した結果, 投与後4時間でピークがみとめられた. 2.AO40mg/kgを妊娠7日の母獣尾静脈に投与し, その後5・10・20・30分1・2・24・48時間で胚を採取し, 蛍光顕微鏡にてAOの移行分布状態を観察した. その結果, 5分後の胚ですでにAOによる二次蛍光がみとめられ, 次第にその強さが増し, 24時間後もなおあきらかに蛍光がみとめられたが, 48時間後の胚(頭 長6mm, 体節数32)ではAOによる二次蛍光はみとめられなかった. 3.また, 蛍光顕微法を用い胎芽を観察することによりその発育パターンを経時的に捉えることが可能であり, 写真撮影によってすでに胎芽発育段階の評価基準についての知見を積みつつある. 4.すでに倒立顕微鏡を購入し, これを用いた観察も併行している. 5.アクリジン・オレンジ系色素は突然変異原性が認められているが着床前期および器官形成期に母獣に投与しても催奇形性は認められないことが明らかとなった. 結語:以上のように母獣に投与したアクリジン・オレンジは極めて短時間で胎芽に移行し発育の観察に供しうることが明らかとなった. しかし, 採取した胎芽を蛍光顕微鏡法で観察, すなわち紫外線を照射し二次蛍光を発光させると, 次第に二次蛍光の強さが減弱し長期保存は不可能で, 短時間内での処理が不可欠である, ことが判明した. この点アクリジン・オレンジ法の限界であるのか, または代替染色法があるのか否かについて究明の必要性が生じている.
|
Research Products
(2 results)