1987 Fiscal Year Annual Research Report
地域・年次変動を手懸りとする運動ニューロン疾患の成因的研究
Project/Area Number |
62570241
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 喜代太郎 北海道大学, 医学部, 教授 (80018366)
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Keywords | 運動ニューロン疾患 / 死亡率 / 疫学 / 危険要因 |
Research Abstract |
1.目的:我が国の運動ニューロン疾患MNDの訂正死亡率の年次・地域変動を明らかにし, なぜそのような変動がおきたかを知って, 本症の成立機序を推定する. 2.方法 1)年次・地域変動. 1950〜1984年MND死亡数(当該ICD符号による, 性・年令・府県別), 及び対応人口数. 性別に1965年国調人口で死亡率を訂正. 2)死亡率の決定要因. 1969〜83年の死亡数(性・年令・市区町村別), 対応人口, 市区町村別の環境要因などの公的資料約600項目. 標準化死亡比SMRはある項目の区分別に, 分子は死亡数合計, 分母は人口数合計として計算し, 1969〜73年分の全国の死亡率を100として表示. 3結果 1)性・地域を合せた各年度のMND訂正死亡率は1960年まで激増, のち減少し, 1977年以降は一定, 減少傾向は以前の多発児ほど, また若令者ほどつよく, 純自然環境や遺伝では説明しにくい. 2)要因別のSMRは居住地の区・市・町村別, 市街・農村・山村別, 1959年のEngel係数に差があり, 貧しい山村が地域レベルの危険要因であることが判った. 4考察:MNDの死亡率はかなり鋭敏に社会経済的要因と関連しつつ変動する. このことはMNDに至るプロセスが種々の外的要因で修飾されることを示唆する. 5今後の方針:今回のSMRは市区町村別の環境要因で求めたが, 今後, 都道府県別で同じ分析を行う予定である. 後者は域内の異質性が大きくなるが, 統計資料がはるかに豊富に得られる.
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