Research Abstract |
本年度は, TRH負荷試験の対象者の選定と, 背景となる全身病態評価のための自律神経機能, 副腎髄質機能を測定する全身寒冷負荷検査を実施し, 基礎的データを得た. 1.寒冷負荷方法を決定するために, 健常者4名について, 生理的食塩水を用いて血管を確保し, 5°C10分間の-側手冷水負荷と10°C30分間の全身空冷負荷実験をおこない, 経時的に血中ホルモンの変動を測定した. その結果, 全身病態を検討するためには, 全身寒冷負荷が必要であること, 負荷条件として7°C, 採血は負荷中25分経過後が適当であることが明らかとなった. 2.振動障害者として治療中で手指のレイノー症状が頻発する者10名と, 現在振動工具を使用中で手指のレイノー症状が頻発する者15名, 計25名(R(+)群), 同様にレイノー症状の既往を持たない者, 10名, 15名, 計25名(R(-)群), 振動作業の経験をほとんど持たない健常者25名(C群)を全身寒冷負荷試験の対象者として設定した. 各群の対象者は, 振動工具よりの離職年数(治療者のみ), 年令を個人毎にマッチングさせた. 3.以上の75名に対し, 7°Cの全身寒冷負荷を30分間おこない, 負荷前と負荷中25分目に採血し, 冷却遠心にて分離した血漿を-80°Cに冷凍保存した. このさい, 全身的な医学チェックをおこなうとともに, 心電図R-R間隔の変動やABRの測定をおこない, 自律神経-中枢神経機能の電気生理学的検査資料とした. 4.冷凍保存した血漿は, 現在, ノルアドレナリン, アドレナリン, cAMP, cGMP, TSH, T_3, T_4などのホルモン測定に供している. 振動障害者の中で, 血漿中ノルアドレナリン, cGMP, T_3の前値や寒冷負荷による反応の高いものが明らかになりつつあり, 分析を継続中である.
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