Research Abstract |
栃木県M町における住民登録者のうち昭和54〜62年(9年間)の全死亡者1927名(年間粗死亡率人口千対5.7)について, 同一世帯内で2名以上の死亡者の出た世帯を検討した結果, 190組(2名死亡184組, 3名死亡6組:386名)が把握された. これら190組の諸特性について, 第1死亡群と第2死亡群(同一世帯における第1死亡後の死亡者)とを比較すると, 第2死亡群は女性の割合が58.7%と顕著に多く(第1死亡群39.3%, 全死亡群45.5%)平均死亡年令も若干高い(第2死亡群71.3才(男65.9才, 女75.0才), 第1死亡群70.1才, 全死亡群69.4才). 性・年令の影響を除去するため, 性・年令別に第1死亡から第2死亡までの時期を計算し, 全死亡群から推定される性・年令別の期待値と比較すると (1)第2死亡群では男女とも有意に生存期間の短縮が認められた(時期値-観察値=0.53年(男), 0.62年(女). (2)年令別にみて, 期待値-観察値の差が最も大きいのは男では60-64才, 女では70-74才であった. 男女とも50才すぎ頃から第2死亡群の生存期間の短縮がおこり, 85才をすぎると差がみられなくなる. (3)第1死亡から第2死亡までの期間別に第2死亡群の平均死亡年令をみると, 「死別」の影響は男では数年を経過してもなお残るが(1年後8.5年の短縮, 2年後4.2年, 3年後3.7年, 4年後2.1年, 5年後1.5年, 6年後0年の短縮), 女では2年と比較的短期間しか残らないことが示唆された. (4)第2死亡の続柄別に期待値-観察値の差をみると, 父(0.17年), 母(0.66年), 息子(0.60年), 娘(1.69年), 祖父(2.89年), 夫(0.17年), 妻(0.65年)など親しい親族の死が死別者の生存期間を短縮させている可能性が示唆された. 兄弟姉妹, 嫁では期待値との間に差がみられない. (5)第2死亡者の死因別に期待値との差をみると, 虚血性心疾患(男0.59年, 女1.22年), その他の心疾患(男1.80年, 女0.70年), 老衰(男1.05年, 女1.42年)などに差がみられる.
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