1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570252
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Research Institution | Dokkyo University School of Medicine. |
Principal Investigator |
中江 公裕 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (60010112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 雅晴 獨協医科大学, 医学部, 助手 (30095038)
宇佐見 隆廣 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10095028)
森沢 康 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80095041)
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Keywords | 死別のインパクト / 疫学 / 地域小集団 |
Research Abstract |
栃木県M町の住民登録者のうち、昭和43〜62年の20年間の死亡者数は、4153人(年間粗死亡率6.3/千人)であった。このうち、2人以上の死亡者を有する世帯は、779家族(1692人:913組合せ)で、その内訳は、1人死亡2461家族、2人死亡660家族、3人死亡105家族、4人死亡13家族、5人死亡1家族であった。この分布は、死亡が一定の確率(20年間で0.127)でat randomに発生すると仮定して導かれるポアソン分布等の世帯数分布(期待値)とは一致せず、2名以上の複数死亡家族数が期待値を上まわって発生している。同一世帯内に2名以上の死亡者のいる779家族(913組合せ)について、第一死亡から第二死亡までの期間(間隔期間と略)別に組合せ頻度をみると、3ケ月以内46組、4〜6ケ月29組、7〜9ケ月32組、10〜12ケ月27組、13〜15ケ月27組、16〜18ケ月23組、19〜21ケ月24組、と3ケ月以内の死亡が10人余多くなっている。これらは、「死別」が強いインパクトとなって第二の家族内死亡を惹き起したと思われる症例である。第二死亡者の死因をみると、虚血性心疾患の割合が、短い間隔期間での死亡群に有意に高い。この傾向は高令群において特に顕著であり、若年群においてはこの傾向はないか薄弱である。間隔期間別に、平均死亡年令をみると、男女とも3ケ月以内の短い間隔期間での死亡群が最も低く、間隔期間が長くなるに従って、死亡の平均年令も高くなる。 4153人の全死亡者は、昭和42年12月31日現在全員生存し、昭和62年12月31日までには全員が死亡した集団であるが、この集団の性別・年令別・年代別平均生存年数をもって、間隔期間の期待値とし、死別家族の第一死亡から第二死亡までの期間を比較すると、「死別」の影響は、50歳頃から現れること、親しい親族への影響が血縁の薄い親族より大きいことが示唆された。
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