食糧成分中のカロチノイド類が生体防御機能に及ぼす影響に関する実験的・疫学的研究

1987 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62570257
• Research Institution: Kurume University
• Principal Investigator: 富田 純史 久留米大学, 医学部, 助教授 (70113230)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 柴田 彰 久留米大学, 医学部, 講師 (10113226) ; 福田 勝洋 久留米大学, 医学部, 教授 (60045416)
• Keywords: カロチン / カロチノイド / 生体防御 / 腫瘍免疫

Research Abstract

本研究課題の当該年度においては, 食糧成分中のカロチン及びその関連のカロチノイド類が生体の各防御機能に及ぼす影響について実験的アプローチを行ない, 機序解明と有用な生理活性物質の検索を試みた.
1.まずビタミンAの前駆体であるβ-カロチンをマウス同系腫瘍系に投与することによって細胞障害性T細胞が誘導され, 腫瘍特異抗原特異的に腫瘍排除が高まることを見いだした.
2.次いで化学構造とそれに伴う生物学的プロビタミンA活性の異なる種々のカロチノイド類(α-カロチン, エキネノン, カンタキサンチン, ゼアキサンチン, アスタキサンチン), 及びその誘導体(β-アポカロチナール, β-アポー8〓-カロチン酸エチルエステル)の腫瘍免疫に対する作用を, 主に中和試験によって比較検討した. その結果, β-アポカロチナールを除いたカロチノイド類に腫瘍増殖の強い抑制を認め, とくにアスタキサンチンに顕著であった.
3.このようにβ-カロチン及びその他のカロチノイド類に免疫学的腫瘍排除を賦活化するものを見いだした. この賦活化は生物学的プロビタミンA活性を持つカロチノイドのみならず活性のないゼアキサンチン, アスタキサンチンにも認められた. 一方, β-アポカロチナールは活性を持つにも拘らず認められなかった.
従って, プロビタミンA効力と腫瘍免疫賦活化効果とは関係がないことが示された. さらに, ケト基, 水酸基の各誘導体ではβ-カロチンと効果がほとんど変わらなかったが, 水酸・ケト両基誘導体はより強い効果を示し, 立体構造と増強効果との間に密接な関係があることを示した. 現在, 他の免疫学的指標についても検討中である.

Research Products

• [Publications] Y. Tomita: J.Natl.Cancer Inst.78. 679-681 (1987)
• [Publications] Y.Tomita: J.Natl.Cancer Inst.
• [Publications] 富田 純史: BIOMEDICA.