1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570258
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Research Institution | The Institute of Public Health |
Principal Investigator |
井上 栄 国立公衆衛生院, 衛生微生物学部, 部長 (40072938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 修二 東京大学, 医学部物理療法内科学教室, 助教授 (30010151)
阪口 雅弘 国立公衆衛生院, 衛生微生物学部, 主任研究官 (20170590)
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Keywords | スギ花粉症 / IgE抗体 / 蛍光測定酵素免疫吸着法 / 無症状 |
Research Abstract |
昭和63年は、前年に引き続き、東京都心部某事業所の20代従業員903人の採血を4月に行い、その血清中のスギ花粉アレルゲン特異的IgE抗体を蛍光測定酵素免疫吸着法(ELISA)で測定した。うち406人には花粉症症状の有無に関するアンケート調査を行った。結果は、903人のうち抗体陰性者(RASTO)は561人(62%)であった。抗体濃度RASTO^+は79人(9%)、RAST1は35人(4%)、RAST2は136人(15%)、RAST3は92人(10%)であった。アンケート調査を行った406人の抗体濃度別スギ花粉症症状保率は次のようになった。すなわち、抗体陰性者は406人中247人(61%)いたが、このうち20人(80%)がスギ花粉飛散期(2-5月)に花粉症症状を持っていた。抗体陰性者RASTO^+は33人いたが、うち8人(24%)が症状陽性であった。RAST1は18人中4人(22%)が、RAST2は53人中27人(51%)が、RAST3は55人中31人(56%)が、症状保有者であった。抗体濃度が高くなるにつれて、症状保有率も高くなっていた。 この調査の特色は一般人を対象としたことで、診療所を訪れる患者を対象にする調査に比べて興味ある事実がいくつかわかった。一つはスギ花粉特異IgE抗体保有者が40%もいることである。花粉暴露量も都内においても多いものと考えられる。また、RAST3という高IgE濃度でありながら無症状のものが約40%もいた。このようなことは、症状を持つ患者のみを対象とする調査ではわからなかったことである。IgE抗体陽性者でありながら無症状者は、アレルギー反応が肥満細胞のレベルで抑制されているかもしれない。ここを解明することは、アレルギー病の治療へのヒントとなるかもしれない。
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