1988 Fiscal Year Annual Research Report
補体成分C3の経時的変化とその死後経過時間測定への応用
Project/Area Number |
62570260
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三澤 章吾 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50086534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄之介 筑波大学, 社会医学系, 講師 (30138416)
土屋 滋 筑波大学, 社会医学系, 教授 (10013963)
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Keywords | 死後経過時間 / 補体第3成分(C3) / 補体の分解 / 交差免疫電気泳動 / B_1A / B_1C |
Research Abstract |
1.我々は放置血清中において自然分解する補体第3成分(C3)に着目し、交差免疫電気泳動を用いて、屍血中B_1CのB_1Aへの移行から死後経過時間の推定を試みてきた。 2.62年度にはC3の分解過程はdc/dt=-kC(CはC3濃度、kは一次反応速度定数)で表わされ、C3の分解率はXは-log(1-x)=ktで表わされることを明らかにした。健康成人の血液を試料として経時的にサンプリングし、各時間における-log(1-x)をプロットすると、時間と-log(1-x)との間には直線関係が成立することを示した。 3.63年度は実際例での実験を行い、実際的応用の可能性を検討した。夏から冬にかけて死亡時間の明確な剖検および検死例の心臓血を採取、試料として死後経過時間(PMI)とB_1CとB_1Aとの比(x)との関係を調べた。その結果、両者には有意な相関があり(r=0.721)、回帰直線を求めると、PMI(hours)=4.21+1.39xとなり、この結果から95%信頼限界9.2時間となった。 次に温度とある時刻におけるC3の分解率xを求めてみた。実際の死亡例においては肢体の冷却過程が不明であるため死亡時(直腸温37度)からI時間(直腸温T(o))まで直腸温が直線的に下降したと仮定すると、任意の時刻tの絶対温度T(t)は、T(t)=[T(o)-37]/I+310となり、結果とては死後I時間のC3分解率xが求められるようになる。この計算値xと実際例での値(実測値x)との関係を調べると、x<10では両者は直線関係になることが明らかになった(r=0.852) 4.2年間の研究成果から、C3の分解率に基づく推定法を用いることにより、24時間以内のPMIの測定が可能であった。しかし分解速度には個人差があること、B_1CからB_1Aへの移行は温度の影響を受けること、実際の体温降下は指数関数的変化であることなど、なお問題が残った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小湊慶彦,三澤章吾 他: 日本法医学雑誌. 40. 577 (1986)
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[Publications] 小湊慶彦,三澤章吾 他: 日本法医学雑誌. 41. 133-134 (1987)
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[Publications] 小湊慶彦,三澤章吾 他: 日本法医学雑誌. 41. 638 (1987)
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[Publications] Yoshihiko,Kominato;Shogo,Misawa;et al.: Journal of Forensic Sciences. 33. 404-409 (1988)
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[Publications] Yoshihiko,Kominato;Shogo,Misawa;et al.: Journal of Forensic Sciences. 34. 207-217 (1989)
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[Publications] Yoshihiko,Kominato;Shogo,Misawa;et al.: American Journal of Forensic Medicine and Pathology.