1987 Fiscal Year Annual Research Report
負イオン化学イオン化ガスクロマトグラフィー/質量分析法の法医学的応用
Project/Area Number |
62570263
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 修 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (70093044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 稔 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00107799)
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Keywords | ガスクロマトグラフィー / 質量分析法 / 負イオン化学イオン化法 / 薬毒物分析 / 法中毒学 / ベンゾジアゼピン系薬剤 |
Research Abstract |
本年度はまずマイナードランキライザーとして最も広く使用されているベンゾジアゼピン類に注目し実験を行った. 24種類のベンゾジアゼピン原沫を入手し, 負イオン化学イオン化(NICI)マススペクトルを測定し, 正イオン電子衝撃(PIEI)法と正イオン化学イオン化(PICI)法と比較した. ベンゾジアゼピン系薬剤構造中にはハロゲンもしくはニトロ基を有しているものが多いが, イオン化室圧1Torrではニトロ基やFによるピークは出現せず, もっぱらClやBrのハロゲンピークが出現した. 特にBrについては必ず基準ピークとなって現われた. その他[M+15]が多くの薬剤で認められたが, 特に法中毒学上有用となるピークは出現せず, ベンゾジアゼピン類中の類似構造を示唆するピークはむしろPIEIやPICIマススペクトル中に認められた. 例えばPIEI法ではm/z56と70はそれぞれOxazolo-とmethyloxazolo-benzodiazepinesに特徴的なピークであった. 感度的にもNICI法ではPIEI法より優れているということはなく, ほぼ同等であった. ベンゾジアゼピン類は尿中には抱合体として排泄されるものが多い. 従って抱合体やその他のベンゾジアゼピン代謝物を簡便に検出するには, 塩酸中で熱し, 加水分解し, 生成するベンゾフェノン類を検出する方法が広く行なわれている. そこで私共は14種類のベンゾフェノン類をベンゾジアゼピン類から合成し, 各マススペクトルを測定し, 比較検討を行った. イオン化室圧1TorrにおいてNICIスペクトルは一般的に非常に単純であり, 分子負イオンのみ出現するものが多く認められた. イオン化室圧0.01Torrでは分子負イオンが多少小さくなり, その代わりハロゲンやニトロ基ピークが出現してくる. 感度的にも分子負イオンを用いればPIEIやPICI法よりもかなり優れていることが期待でき, 定量的な感度試験を現在行っているところである.
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Research Products
(2 results)