1988 Fiscal Year Annual Research Report
外傷性(二次性)ショックにおけるアラキドン酸代謝系の病態生理学的解析
Project/Area Number |
62570270
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
平岩 幸一 福島医大, 医学部, 教授 (60124616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 すみ子 福島医大, 医学部, 助手 (50136975)
栗崎 恵美子 福島医大, 医学部, 講師 (30106356)
黒田 曜子 福島医大, 医学部, 講師 (00045600)
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Keywords | 外傷 / ショック / ロイコトリエン / MDA / γーGTP / 血小板活性化因子 / 白血球凝集 |
Research Abstract |
家兎の緊縛性ショックの機序を明らかにする目的で、ショック時のleukotriene(LTs)、malondialdehyde(MDA)及びγ-GTPの変動、病理組織学的所見、並びに、血小板活性化因子(PAF)との関連性について検討した。 家兎(2kg前後)の右大腿部を800mmHgで24時間緊縛し、緊縛解除前(A群)、解除後3時間(B群)、6時間(C群)、12時間(D群)の血液・筋肉・肝を試料とした。別群の家兎も同様に処置し、頸動脈圧をモニターした。緊縛解除後、血圧の下降時期に、CVー3988を静注した。又、血圧の降下時に、生食液を輸液し、その後にCVー3988を静注した。 1)LTB_4はいずれの群の血液・筋でも増加しなかった。血液LTD_4はC・D群で増加した。血液LTE_4はB群で顕著に増加した。筋肉LTD_4は緊縛側のA・B・C群で増加し、対側のA群で若干増加したが、B・C・D群では増加しなかった。筋肉LTE_4は緊縛側のB・D群で増加し対側ではA群のみ増加した。 2)血清MDAはA群で最大値を示し、B群で低下し、C・D群では回復した。筋肉MDAは、緊縛側でA〜D群ともに増加し、対側ではB群で最大の増加を示した。肝臓MDAは時間とともに増加し、C・D群で顕著に増加した。 3)γーGTPは血清ではC・D群で顕著に増加した。筋肉では緊縛側で時間経過とともに増加した。肝臓では12時間後のD群で顕著に増加した。 4)緊縛解除後の血圧下降時に、CVー3988の投与は拡張期血圧をより大きく上昇した。輸液後のCVー3988投与も同様の傾向を示した。 5)組織学的には、B・C・D群の順で緊縛側の皮膚・筋肉は充血・浮腫・細胞浸潤が次第に明瞭となり、D群では白血球の血管内皮への粘着や小動脈中膜への浸潤もみられた。肺ではC群で血管内白血球凝集が僅かにみられ、D群では相当数観察された。 以上の如く、緊縛性ショックにおいては、膜傷害によるリン脂質代謝物が大きく関与していると考えられ、今後の検討が望まれる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Emiko KURISAKI: Fukushima Journal of Medical Scince. 34. (1988)
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[Publications] Emiko KURISAKI: Fukushima Journal of Medical Science. 35. (1989)
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[Publications] 黒田曜子: 日本法医学雑誌. 43. (1989)
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[Publications] Kouichi HIRAIWA: Tohoku Journal of experimental Medicine.
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[Publications] Kouichi HIRAIWA: Medicine,Science and law.
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[Publications] 阿部すみ子: 日本法医学雑誌. 43. (1989)