1988 Fiscal Year Annual Research Report
培養OK細胞を用いた副甲状腺ホルモンによるcAMP産生以後の作用機構解明
Project/Area Number |
62570287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 尚彦 大阪大学, 医学部, 助手 (70115997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 吉典 大阪大学, 医学部, 助手 (90165308)
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Keywords | OK細胞 / 副甲状腺ホルモン / 蛋白合成阻害剤 / リン輸送 / cAMP / ゲンタミシン / フォスファティジルイノシトール |
Research Abstract |
1.OK細胞は副甲状腺ホルモン(PTH)に感受性を持ち、PTHの細胞への作用機構を検討するのに適した系である。本年度は、昭和62年度に行ったOK細胞培養条件、リン輸送測定系の確立などの基礎実験の成果をふまえ、以上の検討を行った。 2.OK細胞におけるリン輸送は20分間まで直線的な取り込み増加がみられることより、以上の検討では3分値あるいは5分値を用いた。PTHによるリン輸送抑制は10^<-9>M添加より認められ、濃度依存性に抑制が強まった。近年10^<-11>〜10^<-9>M程度の低濃度PTHでは、c-kinase系がリン輸送のmodulationに関与しているとの報告があり、c-kinase活性化をおこすTPA添加の影響を検討したが、一定の成績が得られなかった。PTH作用はIBMX10^<-3>M添加により増強され、IBMX単独添加でも、リン輸送抑制がみられたことより、OK細胞におけるリン輸送のPTHによる調節にはcAMP産生以後の機構が大きな役割を果していることが確認された。PTH添加後リン輸送抑制がおこるまでには、15分あれば十分であることも確認された。 3.PTHは腎細胞に作用し、その細胞膜リン脂質含量、とりわけ酸性リン脂質phosphatidyl inositol(PI)を増加させるとの報告がある。我々はこの点に着目し、PIを結合部位とするアミノグリコシド系抗生物質ゲンタミシンの細胞蓄積に与えるPTHの影響を検討した。ゲンタミシンの細胞蓄積はPTH添加(10^<-8>〜10^<-6>M)により濃度依存性に増加した。また、この蓄積増加はdibutyeye.cAMP添加によって再現されたことより、PTHによるゲンタミシン蓄積増加機序にはcAMP産生以後の機構が関与していることが示唆された。さらに、この作用はcycloheximide 1mM添加により抑制されることより、何らかの蛋白合成が介在している可能性が示唆された。
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[Publications] Nakahama,H.: Nephron. 49. 223-227 (1988)
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[Publications] Yamauchi,A.: Am,J.Physiol.254. E676-E679 (1988)
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[Publications] Nakahama,H.: Jpn.J.Nephrol.30. 1103-1108 (1988)
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[Publications] Yamauchi,A.: Metabolism. 38. (1989)
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[Publications] Yamauchi,A.: J.Clin,Invest.
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[Publications] Fukuhara,Y.: J.Pharmacol.Exp.Ther.
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[Publications] 折田義正: "輸液療法:体液の生理と病態" 金原出版, 2-12 (1988)