1988 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作の応用による白血病の早期診断の試み(白血病特異的発現遺伝子の分離による)
Project/Area Number |
62570289
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Research Institution | Ehime university |
Principal Investigator |
塩坂 孝彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (90035486)
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Keywords | 白血病 / 慢性リンパ性白血病 / cDNAlibrary / 遺伝子発現 / HL-60 / オンコジン / c-myc / TPA |
Research Abstract |
白血病細胞の性格は形態学的、生化学的および表面マーカーの解析によりかなり明らかにされてきている。しかし、FAB分類で同じクラスに分類されても、必ずしも同じ治療効果が得られるとは限らない。そこで、白血病細胞の遺伝子発現の面から、その性格を明らかにすることを試みた。CLLからCdNA libraryを作成し、白血病細胞に強く発現される遺伝子を分離した。今回、これらの遺伝子の臨床レベルでの応用を考え、各種培養白血病細胞で、in situhybridization法を検討した。その結果は以前の他の方法で行った場合と同じであった。 発がんプロモーターであるTPAは培養白血病細胞(HL-60など)に働き細胞を分化させる。そのときc-myc等のオンコジンの発現量を変化させることは知られている。我々の分離した遺伝子の発現も同様に変化することは報告中である。そこで、今回、患者から分離した各種白血病細胞でそれらの細胞が持つ潜在的分化能の検討を行った。即ち、これらの白血病細胞にTPA処理を行い我々の分離した遺伝子および各種オンコジンの発現量を検討した。TPA処理により、各種遺伝子の発現量の変化は一定していない。6-1Eまたは7-3Gの場合、発現量が低下する場合と変化しないかまたは増加する場合がある。急性骨髄性白血病では、臨床経過と比較すると、6-1Eおよび7-3Gが細胞のTPA処理で発現量が増加する症例はいずれも完全寛解で、治療薬の効果が良い、TPA処理で発現量が減少する症例は予後は悪かった。c-mycではAMLおよびCMLの何れにおいても発現量は同じか減少したが、MDSの3症例では発現量は増加した。また、症例が少ないがMDSと白血病細胞とのあいだのc-myc遺伝子の発現量の変化は興味がある。なお、6-1E、7-3Gと9-5Cの塩基構造はGenexのデータベースと一致するものがなかった。また、6-1Eの遺伝子の全CNA構造は決定し、その蛋白構造を検討中である。
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[Publications] Tanaka Y.;Shiosaka T.;Sakai.I; Kobayashi.Y.: Acta Haematol.Jpn.50. 854-861 (1987)
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[Publications] Hamada,M.;Takenaka.;Fukumoto.K.,;Fukamachi.S.;Yamaguchi,M.;Sumida,M.;Shiosaka.T.,et al: ISOZYMES. 16. 81-99 (1987)
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[Publications] Shiosaka,T.;Tanaka,Y.;Kobayashi,Y.,: Br.J.Cancer. 56. 539-544 (1987)
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[Publications] Tanaka,Y,;Shiosaka,T: in preparation.
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[Publications] Shiosaka,T.;Tanaka,Y.,: 1989 Special Issue of Anticancer Research.
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[Publications] 塩坂孝彦、田中理延: 腫瘍と感染.