1987 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞における増殖抑制因子の純化とそれによる癌細胞増殖機構の解析
Project/Area Number |
62570290
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Research Field |
内科学一般
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 修治 九州大学, 医学部, 助手 (40164248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 政明 九州大学, 医学部, 医員
永渕 正法 九州大学, 医学部, 助手 (00150441)
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Keywords | 細胞増殖制御 / 腫瘍増殖制御因子 / サイトカイン / 低分子 / 高分子 / オリゴペプチド |
Research Abstract |
造腫瘍性を有するV79細胞の培養上清中には, 低分子と高分子の増殖制御因子があるが, この中の低分子の物質を種々のクロマト操作で純化し, 一つは分子量2,000の熱に不安定, トリプシンで活性増強されるオリゴペプチド前駆体で, 正常・悪性細胞を問わず効果があるので, これらに共通した増殖制御プロセスに働く制御因子であることが判明した(Cancer Res.inpress). もう一つの低分子のものは, チミジンであった. 実際, V79細胞の培養上清をチミジンキナーゼ欠損株に作用させた所, 活性が約50%減弱したため, チミジンが培養上清中にあって部分的に増殖抑制に係わっていることが判明した(J.Cell.Physiolo.in press). 一方, 分子量約30,000の制御因子はその後の研究で以下の事が明かになった. 1)熱, 酸, トリプシンに安定でキモトリプシンで部分的に失活し, ジチオスレイトール(DTT)にて殆ど影響を受けないため, シングルチェインのポリペプチドである. 2)上皮系, 間質系を問わず, 種非特異的でヒト癌細胞にも効果を有し, その作用は可逆的である. 3)これに反し, ひと線維芽細胞には全く効果ないため, 腫瘍特異的である. 4)既知のサイトカインであるTGF-bataや腫瘍壊死因子(TNF)とも物理化学的にも生物学的にも全くことなる. 5)単層培養でも軟寒天培養でも増殖抑制を示す. これらの結果, この物質は全く新しいタイプのサイトカインであり, 腫瘍増殖制御因子(Tumor Growth Regulating Factor,TGRF)と命名した. 現在この物質の精製とモノクローナル抗体を作製中である.
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[Publications] Matsuoka, H.,: Cancer Researh. 47. 4234-4140 (1987)
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[Publications] Koga, T.,: Cancer Researh. (1988)
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[Publications] Nakayama, M.,: J. National Cancer Institute.
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[Publications] Nakano, S.: J. Cellular Physiology. (1988)
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[Publications] Nakono, S.: Mutation Research.
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[Publications] Iwakiri, R.,: Experientia. 43. 324-327 (1987)