1987 Fiscal Year Annual Research Report
ピリドン・カルボン酸系抗菌薬の〓副作用・発生機序に関する研究
Project/Area Number |
62570302
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
嶋田 甚五郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50056701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 誠治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80165571)
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Keywords | ピリドン・カルボン酸系抗菌薬 / 非ステロイド系消炎剤 / 〓 / GABA受容体結合 |
Research Abstract |
ビリドン・カルボン酸系抗菌薬は, その宿命的副作用として中枢神経系副作用を有することが認められている. 特に, その〓率誘発機序が注目を集めているが, それを神経化学的に示したものはなかった. そこで, 我々は, 中枢神経系において抑制性伝達物質と考えられているγ-アミノ酪酸(GABA)の受容体結合に及ぼす影響を検討し, ビリドン・カルボン酸系抗菌薬がGABA受容体結合を阻害することを, さらに, 遊離のビヘラジニル基を有するもので, その阻害効果は強く認められることを明らかにしてきた. 今回, 我々は, 臨床的にも問題となっている非ステロイド系消炎剤とビリドン・カルボン酸系抗菌薬との併用時の〓率誘発機序を解明すべく, 非ステロイド系消炎剤の存在下にビリドン・カルボン酸系抗菌薬のGABA受容体結合に及ぼす影響を検討し, 以下の事実を明らかとした. ビリドン・カルボン酸系抗菌薬によるGABAの受容体結合に対する阻害は, アスピリンを除く非ステロイド系消炎剤(10-4M)の添加により増強された. 特に, フェンブフェンの活性代謝産物であるビフェニル酢酸素(10-4M)の存在下では, 本系統抗菌薬によるGABA受容体に対する阻害効果は, 著しく増強された. (50%阻害濃度が104分の1に低下した). また, ビフェリル酢酸の共存下においても, 本受容体結合の阻害は, 受容体の最大結合量が減少するためであることが明らかとなった. さらに, ビフェリル酢酸の存在下においても, 遊離のビヘラジニリ基を有するものは, GABA受容体結合を強く阻害することが明らかとなった. 以上のin vitroの結果より, ビリドン・カルボン酸系抗菌薬は, GABA受容体結合を阻害することにより〓率を誘発する可能性が示された. また, 非ステロイド系消炎剤の共存下では, より低濃度のビリドン・カルボン酸系抗菌薬でも, 〓率の誘発される可能性が示唆された.
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[Publications] 堀 誠治: 神経化学. 26. 178-180 (1987)
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[Publications] S.Hori: Abstracts of the 27th Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy.101 (1987)
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[Publications] 嶋田 甚五郎: 化学療法の領域. 3. 536-542 (1987)
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[Publications] 堀 誠治: Chem.therapy.