1987 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の機能と分化に及ぼす各種モノカインの影響について
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62570305
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
川上 正舒 国立病院医療センター, 臨床研究部, 室長 (40161286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 弘子 国立病院医療センター, 臨床研究部, 研究員
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Keywords | 脂肪細胞 / 細胞分化 / サイトカイン / TNF / IL-1 / IFN |
Research Abstract |
最近, 我々の発見したカケクチンは腫瘍壊死因子(TNF)と同一物質であると報告され, 我々も遺伝子組換えのTNFと抗TNF抗体を用いて確認している. しかし, カケクチン作用を示すモノカインはTNFだけではんく, IL-1やインターフェロン(IFN)も同様の作用を示す. 本年度の研究目的は, TNF, IL-1, IFNの3種のサイトカインが脂肪細胞の代謝および分化に及ぼす作用の特異性を明らかにすることにある. まず, TNF, IL-1およびIFNが脂肪細胞のリポ蛋白リパーゼ(LPL)および細胞内脂肪分解に及ぼす影響について検討したところ, TNFとIL-1はともにLPLの抑制と細胞内脂肪分解の亢進を示したが, IFNγはLPL抑制作用のみえを示し, 細胞内脂肪分解亢進作用は示さなかった. IFNβはLPLの抑制および脂肪分解亢進作用の両作用は示したが, その程度は極めて軽度であった. 生体内ではTNFとIL-1は同時に存在すると考えられるが, LPL抑制に対してはこの二つのモノカインは相乗効果を示した. しかし, 細胞内脂肪分解亢進作用については相乗作用も相加作用も認められなかった. 次に, TNF, IL-1およびIFNγが脂肪細胞の分化, 即ち, 前脂肪細胞から脂肪細胞への形質変換に及ぼす影響について検討した. TNFを前脂肪細胞の分化誘導前に作用させるとその細胞は脂肪細胞への分化を示さなくなり, 分化誘導中に作用させると著名な細胞融解が見られた. これに対し, IL-1はそのような分化阻害作用や細胞融解作用は示さず, また, IFNγは分化に対する阻害作用を示すものの細胞融解作用は示さなかった. このように, これらのサイトカインは脂肪細胞のLPL活性に対しては共通の作用を示すにもかかわらず, 脂肪分解作用や脂肪細胞の分化に対する作用はそれぞれ異なるものであった. 本研究の一部は62年9月にハイデルベルクで行なわれたTNF国際会議で報告した.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Masanobu Kawakami: J. Cellualr Physiology.
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[Publications] Minoru Ozawa: Endocrinology.
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[Publications] 川上 正舒: 脂質生化. 29. 433-436 (1987)
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[Publications] 川上 正舒: Therapeutic Research. 7. 314-320 (1987)
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[Publications] 川上 正舒: 代謝. 25. 89 (1987)
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[Publications] 川上 正舒: 生化学. 59. 1244-1247 (1987)
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[Publications] 川上 正舒: "エンドトキシン臨床研究の新しい展開" 羊土社, 289 (1987)
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[Publications] 川上 正舒: "災症とサイトカイン" 日本医学館, 117 (1987)