1988 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌患者の腫瘍局所における制癌機構の免疫組織学的解析
Project/Area Number |
62570306
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三田地 泰司 東北大学, 抗酸菌病研究所臨床癌化学療法部門, 助手 (50181920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
涌井 昭 東北大学, 抗酸菌病研究所臨床癌化学療法部門, 教授 (20006076)
神部 真理子 東北大学, 抗酸菌病研究所付属病院癌化学療法科, 助手 (00195190)
朝村 光雄 東北大学, 抗酸菌病研究所付属病院癌化学療法科, 講師 (00124545)
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Keywords | 消化器癌 / 免疫組織化学 / 腫瘍浸潤リンパ球 / Cytotoxic T cell / Natural killer cell / HLA-DR / Interleukin-2 receptor / Interferon-γ |
Research Abstract |
消化器癌、特に胃癌組織の免疫組織化学的解析により、腫瘍局所にCD8^+(suppressor/cytotoxic)T cellに比べCD4^+(helper/inducer)T cell優位のT cellの浸潤を中等度以上に認めた。B cell(CD22^+)の浸潤は極めて軽微なものであったが、lymphoid stromaを伴う胃癌では浸潤B cellの集簇も認めた。CD11^+リンパ球はsuppressor T cellおよびNK(naturalkiller)cellであるが、CD11^+リンパ球浸潤例ではCD16^+リンパ球の浸潤も重複して認められた。これは、NK cellの浸潤を示すものと考えられたが、Leu7^+リンパ球の浸潤例は少なく、認めても軽微なものであった。また、CD11^+リンパ球の浸潤を認める症例では、その局在はCD8^+リンパ球のものと異なっており、CD8^+リンパ球の浸潤はcytotoxic T cellの浸潤を示す可能性も考えられ、これらの抗腫瘍性免疫担当細胞の浸潤は、腫瘍局所における宿主の癌抵抗機序の一端を示すものと考えられた。なお、胃癌組織ではHLA-DRの発現は、高分化型および中分化型腺癌では、主に癌性腺管を構成する細胞に強い傾向が見られたが、癌細胞のHLA-DRの発現様式と浸潤免疫担当細胞の浸潤様式の関連性は見出し得ず、in-terleukin-2 receptor(CD25)^+T cellの浸潤例も少なく、認めても軽微で、浸潤免疫担当細胞の活性化の機構は明らかに出来なかった。 消化器癌患者を中心とする各種進行癌患者の抹消血リンパ球数、単球数およびリンパ球サブセットの解析結果では、癌化学療法施行例の全リンパ球、単球、T cell、B cell、NK cellおよびT cellの各サブセットは減少あるいは減少傾向を示したが、免疫賦活剤併用化学療法施行例ではリンパ球、単球、T cellおよびそのサブセットの減少は抑えられ、治療前値に近い値で推移した。 また、BALB/cマウスでの検討では、至適量の癌化学療法剤によるNK活性増強効果と、interferon-γによるその増強が認められた。
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[Publications] 三田地泰司、村川康子、奥野真、神部真理子、涌井昭: BIOTHERAPY. 3. 385-389 (1989)
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[Publications] 神部真理子、三田地泰司、村川康子、涌井昭: 診療と新薬. 26. 59-64 (1989)
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[Publications] 三田地泰司、村川康子、涌井昭: 日本消化器病学会誌. 86. (1989)