1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井廻 道夫 東京大学, 医学部(病), 助手 (70134228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 貴志 東京大学, 医学部(病), 医員
大西 真 東京大学, 医学部(病), 助手 (00183236)
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Keywords | 肝癌 / 肝細胞増殖因子 / ラット肝細胞 |
Research Abstract |
私達は, 各種ヒト肝癌細胞株の培養上清(CM:conditioned medium)を検討し, SK-Hep-1が初代培養ラット肝細胞のDNA合成を促進する物質を, 合成, 分泌していることを見いだした. DNA合成促進は, 2×10^5個の遊離ラット肝細胞をコラーゲンコートした, 22mm径のディッシュにまき, 濃縮したCMを添加した培地で40時間培養後, 2μCiのチミジンで2時間パルスラベルし, DNAへのチミジン取り込みを見ることにより検討した. この培地には, インスリンをその最大効果を示すとされる200μU/ml, また, 細胞の生育を維持する目的で5%FCSを添加した. この培養系で上皮細胞成長因子(EGF)のDNA合成促進効果を検討したところ, 5-10ng/mlで最大効果を示した. インスリン, 5%FCSを含む培地に濃縮した細胞増殖期のSK-Hep-1のCMを添加し, 遊離ラット肝細胞を培養したところ, CMにはDNA合成促進効果が認められた. 更に, 最大刺激濃度のEGFと共に培養したところ, CMとEGFは相加的に遊離ラット肝細胞のDNA合成を促進し, CMとEGFは異なった作用機序を有するものと考えられた. 一方, SK-Hep-1培養の異なった時期にCMを集め, その遊離ラット肝細胞DNA合成促進効果を見ると, 時期によっては, むしろDNA合成抑制が認められることがあり, SK-Hep-1は遊離ラット肝細胞DNA合成促進因子と同時に, 抑制因子も分泌している可能性がある. DNA合成促進因子に関しては, その分子量は5,000以上であり, 現在, その純化を進めているところである.
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