1988 Fiscal Year Annual Research Report
がン遺伝子発現動態よりみたアルコールによる肝再生不全機構の解析
Project/Area Number |
62570323
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
房本 英之 大阪大学, 医学部, 助手 (90124776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古澤 俊一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70235282)
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70214286)
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Keywords | アルコール / がん遺伝子 / 肝再生 |
Research Abstract |
肝部分切除後の肝再生過程におけるアルコールによるがん遺伝子発現抑制機構を解明するため、種々のアルコール投与条件下(A群;対照群、B群;急性投与群、C群;慢性投与群、D群;慢性かつ急性投与群)において肝部分切除後のDNA合成、cーfos,cーmyC発現動態を検討した。DNA合成の指標としての^3Hーthymidineの肝DNA分画への取り込みは、肝部分切除後24、36時間でA群31.2±3.1、19.4±2.4、B群30.2±3.3、21.1±5.5、C群28.4±4.1、19.8±5.5、D群20.5±3.4、20.9±3.9(×10^3cpm/mgDNA)と慢性アルコール投与ラットに急性アルコール投与を追加した群において24時間後に有意に低下していた。対照ラットにおけるがん遺伝子発現動態を検討すると、cーfosの発現は肝切除後直ちに急激に立ち上がり30分で最高値をとり以後発現量は低下した。他方、cーmycは肝切除後徐々に発現し、3時間後に最大値となり以後漸減した。A、B、C、D群におけるcーfos、cーmycの発現量をそれぞれ肝切除後30分、3時間における正常肝での発現量の比で表わすと、cーfosはA群9.1±1.1、B群8.6±0.4、C群8.7±0.9、D群8.4±1.3と群間で差は認められなかった。cーmycはA群6.3±0.6、B群5.7±0.8、C群5.7±0.8、D群4.4±0.9と慢性アルコール投与ラットに急性アルコール投与を追加したD群において有意に低下していた。 以上、アルコールによる肝再生の抑制は慢性アルコール投与に急性投与を追加した群においてのみ観察され、この抑制機序にはmycの発現抑制が関与していると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 古澤俊一,林紀夫,八嶌俊,笠原彰紀,佐々木裕,河野通一,片山和宏,山添光芳,房本英之,佐藤信紘,鎌田武信: 肝臓. 29. 377-381 (1988)
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[Publications] 八嶌俊,林紀夫,古沢俊一,笠原彰紀,佐々木裕,目連青哉,房本英之,佐藤信紘,鎌田武信: "アルコール代謝と肝 Vol7 癌遺伝子発現動態からみたアルコールによる肝再生抑制メカニズムの検討" (1989)
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[Publications] T.Yashima,;N.Hayashi,;A.Kasahara,et al.: "In;Biomedical and Social Aspects of Alcohol and Alcoholism Inhibition of liver regeneration through decreased proto-oncogene expression by etanol." Excerpta Medica, 737-740 (1988)