1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570359
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神宝 知行 東京大学, 医学部, 助手 (20134596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国本 雅也 東京大学, 医学部, 教務職員 (70195478)
宇川 義一 東京大学, 医学部, 助手 (50168671)
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Keywords | 運動神経伝導速度 / 運動単位 |
Research Abstract |
1.単一運動単位活動電位の記録のための筋肉内電極の開発 当初, 先端を露出した2本の白金線をガイド針に沿って筋肉内に刺入, 留置する方法を正常人を対象に施行したところ, 以下のような問題点が明らかになった. (1)神経伝導速度を測定するためには, 同一神経線維を2点で刺激する必要がある. また, 運動単位活動電位の同定のためには他の運動単位活動電位の混入をできるだけ少くする必要がある. 従って伝導速度を測定できるる神経線維は2点でともに比較的弱い刺激で興奮するものに限られる. このようにして測定された伝導速度分布があるsampling biasを持つ可能性に留意する必要がある. (2)白金線電極は筋肉内で折損する恐れのあることが, 動物を用いた他の実験から判明したので, 折損の恐れのない双極型針電極に変更した. 2.表面電極を用いた単一運動神経線維伝導速度測定法の開発 本法はわれわれが本研究の中で新しく開発したものである. その原理は次のようである. 末梢運動神経に対する刺激強度を僅かずつ増加させてゆくと, 「全か無かの法則」に従って新しい運動単位が興奮し, その電位が順次付け加わってくる. その運動単位活動電位の出現後の波形から出現前の波形をコンピューターを用いて電気的に引き算することによってその運動単位活動電位を分離記録することができる. 本法の利点は, 表面電極を用いるので被検者の苦痛が少く, 運動単位の大きさをも評価でき, ひとつの運動神経に含まれる運動単位を興奮の順序に関係なくすべて記録できることである. 本法は運動神経線維数が減少した時に最も容易である. われわれは本法を用いて, 筋萎縮が著名な運動ニューロン疾患患者の運動神経線維の速度分布が正常人と比べて大きな差がないことを明らかにした. この方法を仮りに「逐次減算法」と名づけた.
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