1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 輝夫 東京大学, 医学部(病), 講師 (00107666)
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Keywords | 先天性筋疾患 / 型特異的抗ミオシンH鎖モノクローン抗体 |
Research Abstract |
先天性筋疾患における筋構造蛋白の発現異常を解明するため, 特異性の高いモノクローン抗体の確立をはかってきた. その結果ヒト・ミオシンH鎖についてタイプ1型特異抗体SM1・11・2,タイプ2A型特異抗体QMV5・13・2,タイプ2B型特異抗体QMV5・88・1が確立された. 他にタイプ2Cと2A・2Bを認識する抗体E35・3など様々な反応性を示す抗体がえられた. これら3種の型特異抗体をつかいヒト骨格筋の発生過程をみた所, 妊娠17週胎児ですでにタイプ1型ミオシンH鎖の抗原性が約14%の筋線維にみとめられ, 35週胎児では約8%にみられた. 但しこれらの線維は同時にE35・3によっても染色されたので, タイプ1型のみでなくおそらくタイプ2C型ミオシンH鎖も同時発現していた. これら胎児では2A型や2B型ミオシンH鎖抗原は発現されておらず, 生後数ヵ月後より2A型・2B型が発現し, 2C型がなくなると考えられる. 先天性ミオパチーのうちデュシェンヌ型筋ジストロフィーでは1型・2A型・2B型のいずれも発現しており, この筋発生段階には異常が認められないのに対しネマリン・ミオパチーでは検索した10例中6例で2B型ミオシンH鎖が発現されておらず, 1例で2B型のみならず2A型も発現されていなかった. 従ってネマリン・ミオパチーでは2A型・2B型ミオシンH鎖の発現異常が多くの例でみられることが判明し病態の重要な点と考える. セントラル・コア病では1例の検討にとどまっているが, 2A型・2B型ミオシンH鎖が全く発現されておらず, すべて1型であった. 従ってセントラル・コア病ではコア形式とともにミオシンH鎖の発現異常は極めて重要な病態と考える. その他α-アクチニンに対する抗体Sα5-17やトロポミオシンに対する抗体GM17-1が出来ているが型特異性はなくさらに抗体の確立をはかっている.
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[Publications] 清水輝夫: 筋ジストロフィー症の臨床,病態と成因に関する研究 杉田班 昭和63年度研究報告書. 342-346 (1987)
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[Publications] 清水 輝夫: 厚生省『神経疾患研究委託費』 筋ジストロフィー症及び関連疾患の病態とその成因に関する研究 杉田班 昭和62年度研究報告書. (1988)
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[Publications] 石原 傳幸: 日本胸部臨床.
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[Publications] Teruo Shimizu: Biomedical Research.