1987 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型老年痴呆における線条体大型神経細胞の選択的脱落に関する形態的検討
Project/Area Number |
62570363
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小柳 清光 新潟大学, 脳研究所, 助手 (00134958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 房弘 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20018592)
大浜 栄作 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50018892)
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Keywords | アルツハイマー病 / 老年痴呆 / 大脳 / 線条体 / 尾状核 / 被殻 / 大型神経細胞 / コリン作動性ニューロン |
Research Abstract |
アルツハイマー型老年痴呆(SDAT)およびアルツハイマー病(AD)の典型例4例を用いて大脳線条体神経細胞の定量形態的検索を行った. SSAT/ADの線条体では, 小型神経細胞には有意な変化は認めなかったが, 大型神経細胞は対照の26〜30%にまで減少していた. しかも, 残存している大型神経細胞の細胞核の大きさと細胞体の大きさの比率は, 対照群と差が認められなかった. このことは, SDAT/AD線条体で障害される大型神経細胞は, 核と細胞体の大きさの比率を保ちながら萎縮して行くか, または大きさを保ったまま消失して行くことを示唆している. 線条体大型神経細胞の選択的脱落は, 進行性核上性麻痺(PSP)でも認められた. しかも, 大型神経細胞脱落の局在には, SDAT/ADとPSPで差は認められなかった. このことは, SDAT/ADおよびPSPの線条体病変には, 共通する病的機序が潜在していることを示唆している. 線条体大型神経細胞の変性機序を明らかにするため, 遺伝性疾患であるハンチントン舞踏病, 変性疾患としての多系統変性症を検索した. ハンチントン舞踏病の線条体においては, 小型神経細胞は対照の10%に減少し, 大型神経細胞も対照の25%にまで減少していた. 小型, 大型神経細胞とも, その減少の程度は尾状核と被殻において差はみられず, それらの上半および下半部においても差はみられなかった. なお, 小型神経細胞の減少の強さと大型神経細胞の減少の程度に相関はみられず, 細胞変性が小型神経細胞と大型神経細胞とに個々独立して生じている可能性が考えられた. 多系統変性症の線条体では, 乳頭体レベルの被殻において, 小型のみならず大型神経細胞も, 対照の約10%にまで減少していた. 次年度は, 以上の研究を発展させ, かつ最終年度として完結させたい.
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[Publications] 小柳清光: Brain Research. 431. 205-211 (1987)
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[Publications] 小柳清光: Clinical Neuropathology. 6. 71-79 (1987)
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[Publications] 小柳清光: 脳と神経. 40. 47-54 (1988)
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[Publications] 小柳清光: Brain Resarch.
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[Publications] 小柳清光: Journal of Neuropathology and Experimental Neurology.
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[Publications] 小柳清光: Acta Neuropathologica.