1988 Fiscal Year Annual Research Report
Lipid storage myopathyの発症機構の解析
Project/Area Number |
62570366
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上野 聡 大阪大学, 医学部, 助手 (40184949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我 文久 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
西川 嘉郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10218141)
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Keywords | lipid storage myopathy / 培養皮膚線維芽細胞 / 長鎖脂肪酸酸化 / triglyceride分解 |
Research Abstract |
前年度のLipid storage myopathy症例の骨格筋及び培養皮膚線維芽細胞を用いた生化学的分析の結果、長鎖脂肪酸に特異的な酸化能低下及び脂肪酸負荷による細胞内triglyceride合成速度亢進が明らかとなった。長鎖脂肪酸酸化に特異的な酵素系として、ミトコンドリア外膜に存在するアシルCoA合成酵素、ミトコンドリア内膜における脂肪酸通過機構であるcarnitine palmitoyltrans feraseI及びII,carnitine acylcarnitine translocase、そして、ミトコンドリアマトリックス内でのβ酸化経過の最初の段階であるアシルCoA脱水素酵素が知られている。本年度、患者培養皮膚線維芽細胞のhomogenate、ミトコンドリア画分を用いて、長鎖脂肪酸酸化に特異的な諸酵素の活性測定を行った。アシルCoA脱水素酵素測定には、特異的な電子担体である。Electron transport flavoproteinをブタ肝臓より抽出精製し使用した。その結果、個々の酵素活性値の異常低下は認められなかった。そこで、細胞内Triglyceride及び脂肪酸代謝動態を明らかにする目的で、培養皮膚線維芽細胞にラベルしたpalmitateを20時間パルス負荷、その後、脂肪酸を含まないアルブミン溶液でチェイスし、前後の細胞内各脂質画分での放射活性及び細胞外に放出された遊離脂肪酸の放射活性を測定した。その結果、対照細胞では、チェイスにより細胞内triglyceride遊離脂肪酸はそれぞれ約1/3、1/2に減少するのに対し、患者細胞では、それぞれ約3/4、1/2であり、細胞内triglycerideの分解速度の低下が認められた。細胞外に放出された遊離脂肪酸量は両者で差を認めないが、パルス後の細胞内triglycerideに対する比は、対照の約1/2と低値を示した。培養線維芽細胞homogenateでのpH4.0、pH6.0、pH8.0でのlipase活性測定では活性低下を認めなかった。以上の結果より、長鎖脂肪酸酸化能低下及び細胞内triglyceride合成亢進、分解低下の機序として、細脂内triglyceride、脂肪酸代謝調節系の異常の可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)