1987 Fiscal Year Annual Research Report
筋ジストロフィー症筋の急速凍結・ディープエッチング法による細胞膜と細胞骨格の研究
Project/Area Number |
62570370
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
若山 吉弘 昭和大学, 医学部, 助教授 (40138467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 進 昭和大学, 医学部, 助教授 (90097725)
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Keywords | 筋ジストロフィー症筋 / 急速凍結ディープエッチ回転蒸着法 / レプリカ膜 / 細胞膜と細胞骨格 |
Research Abstract |
本年度はヒト正常骨格筋の筋細胞膜と筋細胞内細胞骨格との相互作用を中心に研究した. 液体ヘリウムで急速凍結した生の試料の割断, deepetching, rotary shadow法によるreplica膜の作製は化学固定試料の同様操作によるreplica膜の作製より人工産物が入り易く格段に難しい. 我々の研究室ではこのような高度な手技を用いる研究は今回が初めてであり種々の条件設定に手間取っており今もまだ完全なものではないが作製したreplica膜の所見は非常に興味深い. 骨格筋細胞の真表面は予期に反してかなりsmoothで, extracellular matrixと骨格筋細胞の真表面との接点にはanchor proteinといわれる細胞膜随伴蛋白粒子は今迄の実験では見られていない. 次に筋細胞真表面と接して細胞膜の割断面すなわちmembrane phospolipid interiorが見られるが, 本研究ではrotary Shadow法でreplica膜を作製している関係上unidirectionrl showに比べ膜内粒子の陰がはっきりせず実験開始前に予想していた程膜内粒子が強調されては見られないことがわかった. また膜の内面にはspectrinなどの膜の裏打ち構造が見られるはずであるが, 今迄の実験で作製した多くのreplica膜ではまだこの膜の真の内側表面は見られていない. 更に骨格筋細胞内部に関しては筋原線維など多くの細胞骨格成分が見られたが, 本実験のようなdeep etching, rotary shadow法により作製したreplica膜の観察では筋原線維間に横走する筋原線維, 多分中間径filamentが以外に多く存在することが判明した. これは従来の透過電顕では発見しにくい所見である. 今後は更に実験条件の改善に努めreplica膜の質の改善に努めるとともに, 次年度は本研究の最終目的であるDuchenne筋ジストロフィー症骨格筋細胞の異常所見が本症に多い再生骨格筋細胞の存在によるものか本症骨格筋の本質的な特性かを筋細胞膜と内部の細胞骨格を立体的連続的に観察できる本法を用いて解明してゆきたい.
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