1988 Fiscal Year Annual Research Report
レイノー症状におけるムスカリン性アセチルコリン受容体に対する自己抗体関与の検討
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62570372
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Research Institution | Fujita-Gakuen Health University |
Principal Investigator |
鳥飼 勝隆 藤田学園保健衛生大学, 医学部内科学, 教授 (50084520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 豊 藤田学園保健衛生大学, 医学部生理学, 教授 (70084499)
稲田 進一 藤田学園保健衛生大学, 医学部内科学, 講師 (70129336)
吉田 俊治 藤田学園保健衛生大学, 医学部内科学, 助手 (00166951)
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Keywords | レイノー症状 / 膠原病 / 自己抗体 / 血管弛緩因子 / アセチルコリン受容体 / 血管内皮 |
Research Abstract |
レイノー症状発現の機序の解明のために、従来より、種々検討を加えてきた。その機序の一つとして、ムスカリン性アセチルコリン受容体(m-AChR)に対する自己抗体の存在により、血管レベルでのm-AChRの機能低下をきたし、寒冷刺激に対する血管攣縮の閾値の減少によりレイノー症状が発症する可能性を検討した。その結果、ヒト脳から抽出したm-AChRを抗原として測定してみると、確かにレイノー病状陽性の膠原病患者血清1gG中にm-AChRの活性を阻害する因子がみられ、既に報告した。前年度、m-AChRの材料を脳ではなく、血管内皮細胞を用いて、レイノー症状発現のより直接的な機序の解明を試みた。血管内皮細胞由来培養細胞株(PAE20、都老人研の山本清隆博士により分与)を用いて、その細胞内のm-AChRに対する自己抗体の検出を試みたが、同細胞中には、充分なm-AChR活性が検出できなかったので、同抗体の測定はできなかった。そこで、同細胞に対する患者血清の傷害活性を検討した。その結果、患者全血清を同細胞と反応させると、対照に比し有意に傷害活性が高いことが分かった。この傷害活性が抗体であるのか、あるいは他の血清内の因子によるのかを確認するために、患者血清0〜33%硫安分画でγ-グロブリンを、DEAE-セファデックスA-50にて1gG分画を精製し検討した。症例数が少なく、推計学的には有意ではなかったものの、レイノー症状陽性膠原病患者では正常人に比し、血管内皮細胞傷害性を示す死細胞率(dye exclusion法)が高い傾向が示された。この傷害活性は患者血清中の1gG濃度や他の自己抗体(RNP抗体などの)とは相関は示さなかった。これらの成績から、レイノー症状の発現には、m-AChRに対する阻害因子のみならず、血管内皮細胞よる分泌されるといわれている血管弛緩因子に対する傷害も関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)