1987 Fiscal Year Annual Research Report
本態性高血圧における長期的血圧維持機構に対する昇圧性調節系の意義
Project/Area Number |
62570375
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉永 馨 東北大学, 医学部, 教授 (00004557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 幸雄 東北大学, 医学部付属病院, 講師 (90004689)
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Keywords | 本態性高血圧 / 血圧維持機構 / 降圧薬療法 / 交感神経機能 / 体液性調節因子 |
Research Abstract |
本年度は本態性高血圧患者を対象として, 治療経過中の循環諸量, 交感神経機能および体液性諸因子を計測し, これらに対する降圧薬治療の及ぼす影響について検討を加えた. (1)検索対象は6ケ月以上治療を継続している本態性高血圧患者38例で, 年齢は24〜67歳(平均50±12歳), 降圧薬単独投与群(利尿薬, β遮断薬, α_1遮断薬, Ca拮抗薬, ACE阻害薬)が29例, 併用投与群が9例である. 検索時の血圧と脈拍数はそれぞれ132±8/85±5mmHg, 60±7/分であった. 各対象について, 循環諸量と体液性諸因子を測定後, 降圧薬の休止または減量を試みた. (2)対象例中, 20例(53%)は薬物を中止して経過を追跡中で, 8例(21%)では現在減量中である. 残る10例(26%)では, 血圧上昇や症状悪化のため薬物の減量または休止は継続できなかった. (3)治療期における循環諸量のうち, β遮断薬単独群では心係数の低下と総末梢抵抗の上昇傾向が認められたが, 他の群では循環動態の正常化が認められた. (4)治療期における血漿ノルエピネフリン濃度は, 単独群(262±124pg/ml)および併用群(366±159)でともに高値を示した. (5)血漿レニン活性はβ遮断薬単独群で低値傾向を示した. ACE阻害薬を含まない薬物群では正常域内の値を示したが, 一部に高値例が認められた. 血漿アルドステロン濃度は, 各群とも正常域内の値を示した. 以上のように, 薬物治療により, 循環諸量はほぼ正常することが観察された. 一方, 治療期の血漿ノルエピネフリンは高値を示す症例が多く, 各群の平均値は正常対照より有意に大であった. これは交感神経活性の亢進を示唆しており, 治療経過中の病態, 特に糖脂質代謝や心血管病変の進展に関与する可能性も考えられる. 今後, さらに検索例を加え, 治療休止期における所見とも対比して, 降圧薬療法の生体に対する長期的影響とその意義について検討を加える.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 尾前照雄,柊山幸志郎,石井當男,三浦幸雄: 高血圧. 9. 81-97 (1987)
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[Publications] 三浦幸雄 他: Journal of cardiovascular pharmacology. 10(SUPPL4). S167-S169 (1987)
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[Publications] 石塚由紀,三浦幸雄 他: Japanese Circulation Journal. 51. 1169-1173 (1987)
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[Publications] 三浦 幸雄: 循環器科. 22. 434-439 (1987)
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[Publications] 三浦 幸雄: 綜合臨牀. 36. 19-23 (1987)
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[Publications] 京久史磨 監修,猿田享男編 三浦 幸雄,共著: "Common Disease Series No3, 高血圧" 南光堂, 12 (1987)