1987 Fiscal Year Annual Research Report
血圧・腎循環調節におけるキニン系の役割(新しい拮抗剤を用いた検討)
Project/Area Number |
62570377
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清野 正英 東北大学, 医学部・付属病院, 助手 (50133963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 圭志 東北大学, 医学部・付属病院, 教授 (60004777)
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Keywords | ブラジキニン / キニン拮抗剤 / 血圧 / 腎血流量 |
Research Abstract |
SDラットを用い, ペントバルビタール腹腔内麻痺下に内頸動脈および外頸静脈へカテーテルを挿入し, 血圧のモニターと薬剤の注入に用いた. 腹部正中切開により左腎動脈を露出後, フロープローブを腎動脈へ装着し, 新しく購入した電磁血流計を用い腎血流量を測定した. ブラジキニン拮抗剤はコロラド大学, スチュワート教授より入手したが, そのアミノ酸配列はArg-Pro-Hyp-Gly-Thi-Ser-Dphe-Thi-ArgでありB4147と命名されている. 予備実験として, 本拮抗剤が外国正ブラジキニンの何%を阻害するかどうか検討を加えた. ブラジキニン, 0.5μg静脈正投与は平均血圧を31±1.3mmHg下降をさせたが, B414725μg/mm注入後は9.5±0.6mmHgであり, 使用した外国性ブラジキニンの69%を阻害した. B4147, 25, 50, 100μg投与後, 血圧はそれぞれ前値の108±2.4mmHgより6.1±1.0, 15.3±0.8mmHgへと有意に上昇し, 腎血流量は前値の3.4±0.6ml/minよりそれぞれ-0.27±0.03, -0.46±0.06ml/minへと有意に減少した. これら血圧・腎血流量の変化が, 交感神経系, αレセプターやアンジオテンシンIIを介していないかどうか, これらの拮抗剤であるプラゾシンおよび1-Sar-8IleアンジオテンシンIIを用い検討した. B4147投与による血圧の上昇は, これら拮抗剤によっても影響を受けず, ブラジキニンに対する特異的な拮抗作用と考えられた. 今までカリクレインの阻害剤であるアプロチニンやキニンに対する抗血清を用い検討がなされてきたが, その特異性に問題があり, かならずしも一致した結果は得られていなかった. 今回特異的なブラジキニン拮抗剤を用いることによって, 正常血圧ラットにおいては, 血圧, 腎血流量の維持に内因性ブラジキニンが関与している事が示唆された. 今後, 自然高血圧発症ラットやDOCA食塩高血圧ラットにおいても検討を加える予定である.
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[Publications] Seino, M.: J. Hypertension. (1988)
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[Publications] Seino, M.: J. Hypertension. (1988)
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[Publications] 清野 正英: 医学のあゆみ. (1988,3)
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[Publications] 清野 正英: 日本内科学会誌. (1988)