1988 Fiscal Year Annual Research Report
血圧、腎循環調節におけるキニン系の役割(新しい拮抗剤を用いた検討)
Project/Area Number |
62570377
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清野 正英 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50133963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 圭志 東北大学, 医学部, 教授 (60004777)
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Keywords | ブラジキニン / キニン拮抗剤 / 血圧 / 腎血流量 / デオキシコルチコステロン食塩高血圧 / 自然高血圧発症ラット |
Research Abstract |
DOCA食塩高血圧ラットの高血圧発症、およびその維持機構、ならびに腎血流量の維持に内因性ブラジキニンが関与しているかどうか、ブラジキニンの競合的拮抗剤であるB4147を用いて検討を加えた。DOCA食塩高血圧ラットはSDラットを用い、右腎摘出後、DOCA6mgを週2回筋注し、1%食塩水を投与することにより作製した。対照として1%食塩水投与群と蒸留水投与群を用いた。DOCA群の血圧はD0CA投与2週後から上昇し、4週では144±3.4mmHgとなり、6週では163±4.7mmHgであった。腎血流量は各週で増加傾向を示したが有意の差はなく、6週では4.7±0.6ml/minであった。B4147、25、50、100ug投与後、各群で血圧の上昇を認めたが、その上昇度は1%食塩水群や蒸留水群に比し、DOCA群では4週6週で有意に小さかった。腎血流量はブラジキニン拮抗剤投与後減少したが、各週、各群間に有意の差を認めなかった。 しかし、B4147投与による腎血管抵抗の増加度は4週および6週においてDOCA群では対照群に比し小さかった。これらの結果、内因性ブラジキニンは、DOCA食塩高血圧ラットの高血圧発症期だけではなく、その維持期にも減少しており、本モデルの高血圧発症維持に血管拡張性物質であるブラジキニンの減少が一部関与している可能性が示唆された。同様に自然高血圧発症ラット(8週)を用い、ブラジキニン拮抗剤を投与した所、血圧の上昇を認めたが、その血圧上昇度は対照として用いたWKYラットに比し有意に小さかった。腎血流量も減少したが、その程度はWKY群に比し小さく、自然高血圧発症ラットの血圧、腎血流量維持にも内因性ブラジキニンが一部関与している事が示唆された。このように、ある種の高血圧モデルの血圧上昇、維持機構、ならびに腎血流量の維持に内因性ブラジキニンは重要な役割を果していると考えられた。
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[Publications] Seino,M: J.Hypertension. 6. 867-871 (1988)
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[Publications] Seino,M: Clinical & Experimental Hypertension. 11. 35-44 (1989)
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[Publications] 清野正英: 医学のあゆみ. 144. 985-986 (1988)
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[Publications] 清野正英: 医学のあゆみ. 146. 234-244 (1988)
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[Publications] Seino,M.: J.Hypertension.
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[Publications] Seino,M.: Hypertension.